国内

PayPayポイント不正入手事件 「携帯番号4万件」のカラクリ

普及のための新規登録キャンペーンが悪用された(時事通信フォト)

普及のための新規登録キャンペーンが悪用された(時事通信フォト)

 新しいサービス普及のための「新規登録キャンペーン」に目をつけ、虚偽の情報をもとに不正な取引を繰り返して濡れ手に粟を得る人たちがいる。スマホアプリやネットオークションが舞台になっているため新しい犯罪のように見えるが、実は過去の詐欺事件などと同じ犯罪ネットワークに関わっているらしい。ライターの森鷹久氏が、大規模な新規登録キャンペーン悪用によって明るみに出た、新形態の犯罪のタイプについてレポートする。

 * * *
 電子決済サービス『PayPay(ペイペイ)』のポイント2千万円分を入手し、不正に現金化したとして、電子計算機使用詐欺の疑いで埼玉県警が男女3人を逮捕した。会社役員男性と内縁の妻、その息子と実質的な家族で組んだ犯罪チームが実行した犯行内容は、実に驚くべきものだったと大手紙社会部記者が解説する。

「ペイペイに新規登録するとキャンペーンで付与される500円分のクーポンを、約4万件の携帯電話番号を使って入手。それを別のオークションサイトで自作自演の取引を繰り返して2千万円の現金に換え、高級車レクサスなどを購入していたと見られます。一家は認証代行業者であるとも発表されており、4万回の登録をどうやってやったのかなど、捜査が進められています」(社会部記者)

 一回の新規登録で500円、それを4万回やって2千万円を得る、とは気が遠くなるような回数だが、そもそもなぜ4万件分の携帯電話番号を持っていたのか。さらに、逮捕された家族らの職業「認証代行業」とはいったいどんな仕事なのか、疑問が尽きない。

「スマホで決済アプリなどを使用するとき、本人認証が必要になります。自身の携帯番号を入力すると携帯宛にショートメッセージでパスコードが送られてきて、それをアプリなどに打ち込めば本人認証が完了する、といった方法が最もポピュラーです。認証代行とは、その本人確認のために行われる手続きを代行することです」(社会部記者)

 そもそも「本人」を認証するためのプロセスなので、認証代行そのものが怪しい行いだ。要は「あなたになりすまして、認証を代行してあげます」ということで「刑法第161条の2(電磁記録の不正作出、及び供用)」で禁じている行為に当たる可能性もある。だが、違法行為として検挙される可能性があるにも関わらず、こうした「代行業者」はツイッターなどのSNS上にわんさかいる。

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン