「IT系の人って真面目で、頭がよくて、堅実。こういう人と結婚したら、浮気しないだろうし、失敗はないだろうなって思う。だから弱ってるときは、こういう人でいいのかなって思うんだけど……、そう思ってると去年の既婚者みたいな理想の人に出会ってしまって、心が乱されてしまう」
◆「絶対、普通の人とは結婚しないよね」
話を聞くうちに、面白い人にこだわるのは、亜美さんの好みであると同時に、プライドでもあることが見えてきた。
「地元の友達に、『亜美の結婚相手が楽しみ』って、ずっと言われてきたんです。『亜美は絶対、普通の人とは結婚しないよね』と。その期待に答えなくちゃという気持ちも、少なからずあるのかもしれません」
地元の友達の多くは、堅実な結婚をしている。幼い頃からの同級生、あるいは地元の公務員をつかまえて、20代のうちに結婚。マイホームを建て、2、3人の子供に恵まれ、昼はスーパーでパートなどをしながら、夜は家族団欒を楽しむ。そういう生活を「平凡で刺激がなさそう」と、どこか蔑む気持ちもあるが、同時に、「旦那さんはみんな優しそうで、正直、うらやましいとも思う」と吐露する。
だが、自分はそういう安定の道を選ばなかった。だからこそ亜美さんは、自分の選んだ道を全うしなければという思いになるようだ。