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2020.11.19 00:01  産経ニュース

止まぬ虐待、増える児相の業務 警察と連携に課題は

止まぬ虐待、増える児相の業務 警察と連携に課題は

 全国の児童相談所(児相)が令和元年度に対応した児童虐待の件数が19万3780件となり、過去最多を更新した。児童虐待防止法の施行から20日で20年。児相が対応する虐待事案は飛躍的に増える一方、児相職員の業務負担は重みが増している。家庭への介入を強める流れはできたが、警察当局などとの連携不足による死亡事件は後を絶たず、人員不足や人材育成も喫緊の課題として浮かび上がる。

 虐待事案の対応件数増加の背景には、警察などからの通告の急増がある。元年度は9万6473件に上り、10年前の平成21年度(6600件)から約15倍に増えた。DV事案が端緒になったケースが目立ち、厚生労働省は「警察との連携強化」を強調する。

 法改正を重ね、家庭への強制立ち入り調査など児相の権限を強化。30年3月の東京都目黒区の女児虐待死事件を機に、通告から原則48時間以内に子供の安全を確認する「48時間ルール」も定められた。ただ、昨年6月の札幌市の女児衰弱死事件では同ルールを守っておらず、北海道警とのすれ違いも明らかになった。

 花園大の和田一郎教授(児童福祉論)は「虐待事案の通告受付、子供の保護、家庭支援など全てを児相が担っている。情報共有や連携の名のもとで警察や司法当局との役割を曖昧にし、児相に負担を押し付けてきたのが、法施行後の20年間だった」と指摘する。

 児相の体制強化の動きは進んでおり、虐待対応の児童福祉司は平成29年度から5年間で約2千人増員し、令和4年度には5260人の配置を目指している。ただ、対応件数はそれを上回るペースで増えており、和田氏は「少なくとも1万1千人が必要な業務量。このままでは今後も取りこぼしが出て、虐待死も増える」と危惧する。

 厚労省によると、児童福祉司の勤務年数は1年未満が約23%、1~3年未満が約28%と全体の半数を占める一方、10年以上が約13%で、離職率の高さや経験不足を懸念する声もある。

 コロナ禍の今年度の対応件数は4~7月(速報値)に8万6225件で、前年同時期より6%増えたが、ここ数年の伸び幅よりは低く抑えられている。外出自粛に伴って育児の孤立化が進み、虐待事案が密室化、潜在化している恐れがあり、厚労省は「子供の見守りや子育て支援に取り組んでいく」としている。

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