• TOP
  • コラム
  • やること全て裏目に… 日本株「29年ぶり高値更新」の裏で大損する個人投資家の悲哀

コラム

2020.11.20 19:00  マネーポストWEB

やること全て裏目に… 日本株「29年ぶり高値更新」の裏で大損する個人投資家の悲哀

株高局面なのにベテラン投資家が頭を抱える理由は?(イメージ)

「バイデン氏の勝利宣言」、「新型コロナウイルスのワクチン開発が大きく前進」と、続々と伝えられる米国発の“吉報”を受けて、日経平均株価はバブル崩壊後以来29年ぶりの株高に沸いている。その後も騰勢に衰えは見えず、市場は「買うから上がる、上がるから買う」というマネーゲームの様相を呈している。突如、降って湧いたような株高で、投資家はここぞとばかりに儲けているかと思いきや、「ベテラン個人投資家ほど損している」実態があるという。カブ知恵代表の藤井英敏氏が話す。

【写真】日経平均2万6000円を超える局面もあるなど株式市場は沸騰しているが…

「10万円の特別定額給付金や持続化給付金などを元手に、新たに株式投資を始める『給付金トレーダー』が急増しています。米国でも『ロビンフッダー』と呼ばれる個人投資家の新規参戦が相次いでいるようですが、彼らのような初心者は『上がるから買う』を繰り返して現在の相場に上手く波に乗れている反面、実は経験豊富なベテラン投資家ほど波に乗れず損している状況です」

 藤井氏によれば、異例の株高が投資家の判断を狂わせ、これまでなら儲けられる可能性が高かった「常道」パターンもことごとく通用しなくなっているという。長年にわたり株式投資を行ってきた個人投資家のA氏(50代/男性)が嘆く。

「これまで日経平均株価には、2万4000円を上抜け出来ない厚い“壁”が存在していました。29年もの間何度も上昇局面がありましたが、その度にこの2万4000円の壁に阻まれてきた。今年1月にも2万4000円を一瞬超えたものの、その後『コロナ・ショック』で再び暴落し、いくら株価が上がっても目前で跳ね返される“鉄板の天井”だったんです。

 だから、11月に入ってからの株価上昇も、いつものように2万4000円で止まると見て『空売り』(値下がりすると思われる株を借り、その株を高値で売って安くなったところで買い戻して利益を出す手法)をかけていたのですが、あっという間に2万5000円を超えてしまった。今のところ株価が戻る気配も無く、もはや手の打ちようがありません。現時点の含み損は500万円を超えています……」

 コロナの感染拡大で、過去最大規模の最終赤字となったJAL(日本航空)株を空売りしていた個人投資家のB氏(40代/男性)も肩を落とす。

「JALに限らず、世界中の航空会社が悲鳴を上げるなかで、航空業界がコロナ前の業績に戻ることはもう無いだろう……、私だけでなくほとんどの人がそう思っていたはずです。ここは大きく儲けるチャンスと思い、空売りを仕掛けました。ところが、11月9日に米国のファイザーがワクチンの治験で有効な結果が出たと公表したことを受けて、航空株も一気に急騰してしまった。もちろんJALの株も1日で300円以上上昇しました。あんなに絶望的だと思われていた航空株がここまで上がるなんて、誰も予想出来ませんよね?」

 B氏の失敗はこれだけで終わらなかった。コロナ禍で世界的に外出自粛ムードが高まるなか、巣ごもり需要で米国の「GAFAM」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)をはじめとする巨大IT企業の業績は拡大していた。それら「グロース株(成長株)」はどんなに株価水準が高くなっても株価上昇が続き、世界的にグロース株一辺倒の相場が続いてきた。日本でもIT関連の多い東証マザーズ銘柄が個人投資家から人気を集めてきたが、これも9日に一変した。

「ここ最近は、今の潮流に合わせて航空や旅行関連などのバリュー(割安)株は売り、ハイテク関連などのグロース株を積極的に買って上手く利益を出してきました。保有していたバリュー株は早々に手放して上手く損切り出来たと思っていたのに、ここに来てバリュー株が息を吹き返し、これまで地道に買い集めてきたグロース株は軒並み値下がりしてしまった。やること全てが裏目に出ています……」

 29年ぶりの高値更新でバブルに沸く株式市場だが、すべての投資家がその波に乗り切れているわけではないようだ。

関連記事

トピックス