歌のヒロインがかわいくてたまらない
さらに気になるのがアルバムのポスターなどにある「宮本が愛した、おんな唄」という言葉だ。
「人は誰しも多面体で、私の中にはフェミニンな部分もある。意識しているわけじゃないのだけど、ソロ活動における私は、ある種、中性的な感性を開放しているのかもしれません。だから女心に共感するし、そのことによって歌の世界が広がった気がします。
(と、ひと息置いて)ま、そんな理屈っぽいことはさておき、それぞれの歌のヒロインがかわいくてたまらないんですよねぇ。どの女の子も私の中の女性に対する妄想を刺激します。ピュアで、情熱的で、寛容で、潔くて、強かで、情が深くて、寂しがりで……歌謡曲に癒されるのは、自分の中に潜む純粋さや豊かさを再確認することができるからかもしれません。私の言いたいことは、このアルバムを聴けば一発でわかってもらえると思います!
って、私、熱く語りすぎてませんか? 大丈夫ですか?」
そう言って、「ワハハハハハ」とお茶目に笑う。その晴れやかな表情から充実ぶりが伝わってくる。気さくな人柄、人懐こい笑顔。けれど一度ステージに上がれば、抜群の歌唱力と類いまれなる表現力を発揮し、カリスマ的なオーラを放つスーパースターに豹変する。このギャップが、たまらなく魅力的なのだ。
【プロフィール】
宮本浩次(みやもとひろじ)/1966年6月12日生まれ、東京都出身。1981年『エレファントカシマシ』結成。1988年にデビュー。1996年『悲しみの果て』が大ヒット。2019年ソロ活動開始。椎名林檎と『獣ゆく細道』などを発表し、『NHK紅白歌合戦』に出場して話題に。2020年3月に初のソロアルバム『宮本、独歩。』が、11月18日に初のカバーアルバム『ROMANCE』が発売に。
取材・文/丸山あかね 撮影/森浩司
※女性セブン2020年12月3日号