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2020.11.22 13:00  マネーポストWEB

東北新幹線の上野駅、東海道新幹線の品川駅 それぞれが担う役割

東海道新幹線の品川駅が開業して17年が経った(写真は2003年の開業当時。時事通信フォト)

 日本国内の移動に欠かせない新幹線。東京駅は東北新幹線や東海道新幹線の起点の駅として知られるが、そのお隣の駅にもそれぞれの歴史と役割がある。上野駅と品川駅が新幹線の停車駅になった経緯と現在の役割について、鉄道ジャーナリストの梅原淳さんが解説する。

【写真】1985年の東北・上越新幹線上野駅開業式の様子

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 時速200kmを越える高速での走行が“売り”の新幹線。その強みを発揮するには、駅と駅の間の距離は出来る限り長い方が良い。なぜなら、駅を出発してから、例えば東海道新幹線の最高速度である時速285kmに達するまでには6km近くの距離が必要で、この速度から駅に停車するまでにも、やはり同じ程度かやや長い距離が必要だからだ。少なくとも15kmは欲しいところであり、実際、新幹線停車駅の建設時は、駅間の距離を更に長い30km前後となるように設計される。

 全国の新幹線の中で、駅と駅の間の距離が最も長いのは、北海道新幹線の奥津軽いまべつ~木古内間の74.8km。両駅の途中には長さ53.85kmの青函トンネルがあり、駅を必要とする都市が存在しないからだ。一方、新幹線の駅間が最も短いのは東北新幹線の東京~上野間の3.6km。東海道新幹線の東京~品川間も6.6kmと短い。これだけ距離が短いと、駅を出発した列車は時速200kmを超えるどころか、時速100kmにも達しないうちに次の駅に着いてしまい、高速が売り物の新幹線の特徴は生かせない。

 1日の平均乗降者数(2019年度)を見ても、東北新幹線の東京駅が約15万人なのに対し上野駅は約2万4000人、東海道新幹線の東京駅も約20万人に対し品川駅は約7万4000人と、東京駅の平均乗降者数は上野、品川の両駅を圧倒しており、高額な建設費を考えると新幹線の停車駅にする必要はないように思える。

 では、なぜこの2駅は新幹線の停車駅となったのか。その理由は、上野、品川の両駅とも、ターミナルである東京駅の役割を補うサブターミナルとしての役割を担っているからだ。

◆品川始発の列車は1本だけだが…

 上野駅に東北新幹線が乗り入れたのは1985年。この時はまだ東京~上野間は未開通だったため、上野駅が東京都心部のターミナル駅だった。6年後の1991年になってようやく東京駅まで延びたが、当時の東北新幹線の東京駅のホームは1面しかなく、上越・山形の各新幹線を含む多数の列車の発着を扱いきれないため、引き続き上野駅を始発・終着とする列車は多かった。

 1997年に東北新幹線の東京駅のホームがもう1面増設されると、上野駅を始発・終着とする列車は大幅に減り、それに伴い利用者も東京駅に移ってしまったが、約12年の間、上野駅は東北新幹線における“東京の北の玄関口”だった。今でも、盆暮れやゴールデンウィークなどのピーク時には、東京駅に入線できない臨時列車のターミナルとしてかつての輝きを取り戻すこともある。

 品川駅はどうか。東京と新大阪を結ぶ東海道新幹線が開業したのは1964年。それから39年後の2003年に、東海道新幹線の品川駅は開設された。理由は、列車を増発するためだ。東京~品川間には、新大阪方面への線路から車両基地方面への路線が分岐する場所がある。この区間では、新大阪への営業列車に混ざって車両基地と東京駅間の回送列車が走っており、営業列車の増発が難しかった。そこで、分岐点から新大阪方面の線路上に、東京駅のサブターミナルとなる品川駅を新設して、品川駅を始発・終着とする列車を運行すれば営業列車を増やせると考えられたのだ。

 ただ、東海道新幹線の品川駅が開業してから17年が経った今、品川駅を始発とする列車は朝6時00分発の1本だけで、終着の列車は運転されていない。それでも、結果的に列車の増発には貢献している。東京駅の利用者数は、1980年代後半の1日約16万人から4万人も増加しており、仮に品川駅を開設していなければさらに多くの利用者があふれて乗り降りや清掃に時間がかかり、効率良く列車を折り返せず運行本数はもっと少なかったに違いない。ターミナル駅の役割の一部を品川駅に負担させたことで、東京駅で素早く折り返せるようになり、結果的に営業列車の増発が可能になったのだ。

【プロフィール】
梅原淳(うめはら・じゅん)/鉄道ジャーナリスト。大学卒業後、三井銀行(現在の三井住友銀行)入行。雑誌編集の道に転じ、月刊「鉄道ファン」編集部などを経て2000年に独立。現在は書籍の執筆や雑誌・Webメディアへの寄稿、講演などを中心に活動し、行政・自治体が実施する調査協力なども精力的に行う。近著に『新幹線を運行する技術 超過密ダイヤを安全に遂行する運用システムの秘密』がある。

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