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2020.11.28 07:00  マネーポストWEB

コロナが収束しても東京からの人口流出は止まらない

コロナ後も東京からの人口流出は続くか(イメージ)

 新型コロナウイルス感染拡大によりテレワークが普及し、都会ではなく田舎でリモート勤務するビジネスパーソンが増えている。その影響は、これまで続いてきた「東京一極集中」の傾向にも、大きな変化をもたらしている。こうした流れは今後も続いていくのか。経済アナリストの森永卓郎氏が解説する。

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 総務省が2020年10月末に発表した「住民基本台帳人口移動報告」によると、9月の東京都への転入者数は2万7006人だったのに対して転出者数は3万644人で、3638人の転出超過となった。

 東京では緊急事態宣言が出ていた5月に、比較可能な2013年7月以降で初めて転出超過となり、6月には転入超過に戻ったものの、その後は7月から9月まで3か月連続で転出超過が続いている。

このデータからは、これまで4半世紀にわたって続いてきた東京一極集中に大きな変化が生じていることが確実にうかがえる。もちろん、新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけになっているのは間違いないとはいえ、問題は、一体なぜ東京から人が出ていくようになったのかということだ。

 人口移動をもたらす最大の要因は、何といっても雇用機会だ。全国の有効求人倍率(季節調整値)は、新型コロナの影響により9か月連続で低下を続けており、9月は1.03倍と1倍割れ目前まで下落している。

 そのなかで、1年前は全国トップだった東京都の有効求人倍率(就業地別・季節調整値)は、2020年9月には0.89倍と全国で3番目の低さとなっているのだ。東京一極集中は、求人が豊富な東京へ働く場所を求めて全国から人が集まるという構図で進んできた。ところが、コロナ禍で東京の雇用機会は、とてつもない勢いで失われたのだった。

 コロナの影響で特に大きな被害を被ったのは、飲食やエンターテインメントなどの「繁華街」のビジネスである。そして、そうしたビジネスが集中しているのが東京なのだから、東京の仕事、求人が急減するのは当然なのだ。

◆南関東3県の有効求人倍率を見ると…

 ただし、もし東京の求人減だけが人口流出の原因であるならば、新型コロナが収束すれば、再び東京一極集中に戻るはずである。だが、事態はそう単純ではないと見ている。

 2020年9月に東京都から他の道府県へ転出した人口は、全部で3万644人だった。その転出先の内訳は、多い順に神奈川県7389人、埼玉県5918人、千葉県4393人と続き、南関東3県を合わせると6割弱を占める。

 しかし、南関東3県の有効求人倍率を見ると、神奈川の9月の有効求人倍率は0.87倍と東京都を下回り、全国2番目の低さとなっている。また、埼玉県と千葉県も全国を下回る低水準となっているのだ。

 雇用機会だけが人口移動の原因と考えるなら、東京都と同様に雇用機会が減少している南関東3県に、多くの人口が移動している事実を説明できない。私は、やはり新型コロナウイルスの感染拡大を機に、東京に見切りをつける人が増えているのではないかと見ている。

 東京圏の通勤電車の混雑率の低下度合いから見ると、現時点でもおよそ3割の人がリモートワークを続けていると思われる。リモートで仕事が済むのであれば、様々な生活コストの高い東京に住み続ける必要はなくなる。

 ただし、仕事の大半はリモートでできるという人でも、週に何回かは東京のオフィスに顔を出す必要があることが多い。そうした事情を考えると、さほど大きな時間とコストをかけずに東京に出向くことができる南関東3県に住めば、住居費のコストを抑えつつ、東京ほどの感染リスクを負わずに済むわけだ。そう考える人が増えてきているのではなかろうか。その場合、仕事を変える必要はないので、南関東3県の有効求人倍率が低くても全く問題はないのだ。

 東京の不動産業者の間で、郊外の時代は完全に終わったといわれて久しい。都心に近い駅の徒歩10分以内でなければ資産価値はないといわれており、実際、郊外の住宅価格は、東京都心部と比べたら桁違いの安値に据え置かれたままだ。

 私は、今後も郊外の地価が上昇に転ずるとは考えていない。郊外の地価が本来の価格であって、東京都心の地価が高過ぎるのだ。だから、今後の焦点は、東京都心の不動産バブルがいつ弾けるか、ではないだろうか。

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