同居しながらの離婚の交渉はできない
後藤さんは心を決めた依頼者に、後悔なくスムーズに離婚手続きを進めてもらうために3つのポイントに注目してアドバイスしている。1つ目は、離婚を決めたとき、相手にも離婚の意思があるかどうかということ。これを真っ先に確認するという。
「合意の有無は最初にもめる大きなポイントです。これがなければ離婚条件について話し合いができないため、調停や裁判が必要になり、手続きや準備が数段やっかいになる。相手に離婚の意思がない状態でこちらが無理に離婚を進めようとすれば多額の解決金を要求されたり、財産分与が進まないなど、金銭的にも泥沼化する可能性があります」
2つ目として、後藤さんは「離婚を決めたら、家を出る準備を進めた方がいい」と続ける。
「顔を合わせて生活しながら、お金のことや親権について交渉していくのは難しい。実家に身を寄せるか一時的に賃貸物件を探すかして、家を出ることをすすめます。子供がいる場合は、学年末などの区切りも考えましょう。ただし、DVや深刻なモラハラの被害に遭っているなら、それを待たずに早急に家を出るべきです」
同時に、新生活を始めるにあたり、金銭的にどのくらいかかるのかも把握しておく。
「離婚後はただでさえ入り用になるうえ、生活が不安定になりやすい。経済面を考えれば実家に帰るのがいちばんです。もしそれが難しい場合はどのくらいの家賃でどこに住むのか、生活設計をしっかりして、支出を具体的に試算しておくことが重要です。それまで働いていなかった場合は、収入をどのように得るのかも考える必要があります。離婚後の新生活を始めるには、引っ越し費用や家電の購入などで100万円ほどかかります」
もし、いまの貯金がそれに満たないようであれば、離婚に踏み切るのは危険ということ。コツコツ貯めながら“そのとき”をうかがいたい。