だが、なによりものすごいのは「松山、和田竜、松若」の櫻井眞人氏Gだ。トリオなのに2人重複が179回、3人顔を揃えたのは80回も。3者揃い踏みという点では他の追随を許さない。まるでレツゴ―三匹かキャンディーズといった様相である(旧くてスイマセン)。人気も実力もあるから騎乗依頼が重なる。圧巻は9月21日の中京10R。松若、松山、和田竜の順で決着(2人、1人、6人)。先の例と同じく、独禁法に抵触しそうにも思えるわけだが、競馬はそうは甘くない。総スカ(3着内に誰も入らず)も38回あった。
東西の別など同一age騎手が揃ってしまうのには諸々の理由もありそうだが、馬券の参考になりうると睨むわけである。ageが(たぶん)自信をもって仲介する馬。それが同じレースに出るのだから、なにかしらのファクターが読めるはずだ、
ともあれ、データを取って初めて分かることも多い。新聞の馬柱が、これまでとは違った景色に見えてくる。
【プロフィール】
須藤靖貴(すどう・やすたか)/1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。
※週刊ポスト2020年12月18日号