芸能

『姉ちゃんの恋人』林遣都の憑依的な演技を見るという愉悦

番組公式HPより

番組公式HPより

 芝居の強度、というスケールがあるとしたら、この作品は要注目である。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 コロナ禍の状況下、ドラマ界にも見過ごせない変化が。撮影延期やスタート日程の変更だけでなく、視聴の仕方そのものにも変化が生まれています。

 在宅時間が長くなりPC画面に向かうことが多くなった視聴者は、ネット配信動画で様々な海外ドラマに触れるように。たとえば第四次韓流ブームを牽引した『愛の不時着』『梨泰院クラス』『サイコでも大丈夫』の三作品はNetflixランキング(日本)で上位を独占し話題になりました。あるいは今注目を集めている英国ドラマ『ザ・クラウン』は、何と英国王室からクレームされるほどスキャンダラスな内容で反響を起こし注目されています。

 となれば視聴者も、ついつい比較してしまいがち。映像のクオリティ、かけられた費用、ロケ現場の数の多さ、回数の長さ……。以前にも増して日本のドラマに「物足りなさ」を感じてしまう人もいるかもしれません。

 そのせいなのか断定はできませんが、秋スタートのドラマの視聴率に「ある傾向性」が見てとれます。『この恋あたためますか』(TBS系)、『#リモラブ』(日本テレビ系)、『恋する母たち』(TBS系)、『35歳の少女』(日本テレビ系)といずれもスタート直後に視聴率がやや落ち、後は一桁台で安定。数字は伸びずしかし大きく落ち込みもせず、いわば「低空飛行」のパターンが続く。そんなドラマがズラリと並んで奇妙なほど。

『姉ちゃんの恋人』(フジテレビ系 火曜午後9時)も同様で、初回9.2%でスタートし、以降7%台あたりの数字をずっと持続しています。

 物語は、両親を事故で亡くし3人の弟を育て上げた“肝っ玉姉ちゃん”安達桃子が主人公。有村架純さんが健気な姉を演じ、三人の弟たちは姉に懐いていて「姉ちゃん」「姉ちゃん」と、家族内でこれほど連呼するのか不思議なくらい仲が良い。「ほっとする世界」を好む視聴者がドラマを支えているのでしょう。

 桃子は同僚の真人に恋をしている。2人を温かく見守る弟たち。と、基本的なトーンはアットホームではありますが、しかしベテラン脚本家・岡田惠和氏によるオリジナル作品ですから、単なる平和のままで終わるはずもない。あるいは意図的に、「超安定した姉弟関係」を強調して描いている、と思えるフシも。

 というのも、平和な姉弟たちとは対極的に、一筋の閃光のように緊張を走らせる「真人」が浮上してきたから。特に第6話の観覧車のシーンは、「衝撃的」「涙した」という感想も多く聞かれました。

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン