──中野さんはフジテレビに勤務されていましたが、テレビとYouTubeの違いをどう捉えていらっしゃいますか。
中野:それぞれのよさがあると思うんですけど、私のような個人が発信できるメディアとしてYouTubeがあるのはありがたいですね。情報の速さという点では、テレビよりネットのほうが速いこともあります。また、いまはネットから情報を得る人が増えているので、そういう意味でも、YouTubeを始められてよかったなと思っています。
まだ少ないのですが、海外の人も見てくれているんです。選手時代、海外のファンから手紙をいただくこともあったので、そういう方が見てくれていたらいいなと。全世界の人が見られるのもYouTubeのよさですね。
異色のキャリアを経て、取り戻した“フィギュア愛”
──中野さんは大学卒業を機に引退し、フジテレビに入社されました。プロスケーターや解説者、振付師など、フィギュアにかかわる仕事をする元選手が多い中で、いったんフィギュアスケートを離れ、サラリーマン生活を9年送った後に退職。そしてまだフィギュア界に戻ってこられ、ジャッジを目指されている。異色の経歴ですね。
中野:もの好きなんです(笑)。ジャッジの勉強は、もともとは、ルールを勉強するために始めたものでした。フジテレビで働いていたころ、ソチオリンピックの前にスポーツ局に移動したんですが、私がやっていた時代とルールが大きく変わっていて、これは勉強しないとまずいぞと。勉強するんだったらジャッジを目指してみようかなと。自分がジャッジになったら、どういうふうに点数が付けられているかがわかり、現役時代、自分が納得できなかったことを納得できるようになるんじゃないか、という気持ちもありました。
──現役時代、納得できない点数もありましたか?
中野:選手であっても、どうしてなんだろうとわからないことはあったんですが、結果は変えられないので、出された結果を見て、できるかぎり修正していくのが選手の務めだと現役時代は思っていました。心のなかで疑問があったとしても、自分に課された課題を次の大会までにどうやって克服していくかを考え、練習していくしかないんです。
──いま、フィギュア界に戻ってきていかがですか?
中野:若い選手たちの演技を見ることができて、自分自身が楽しいですね。スケートをやめたころは、21年もやっていたのに「もう見たくない」と思うくらい疲れていたんですが(笑)、やっぱりスケートが好きだという気持ちを思い出させてくれました。