スポーツ

「野球のやの字も知らん」野村克也さんに言われた遠山奬志氏

遠山奬志への「野球のやの字も知らん」の真意は?

遠山奬志への「野球のやの字も知らん」の真意は?

 2020年2月に亡くなった故・野村克也さん。1980年に現役を引退し、野球解説者時代を経て1990年にヤクルト監督に就任。4回のリーグ優勝、うち3回は日本一を達成したヤクルト監督を退いた直後、阪神の監督に電撃就任した。当時、移籍したロッテから阪神に戻った遠山奬志(照治)氏が、野村さんとの会話から鮮明に記憶に残っている言葉について振り返る。

 * * *
 現役の最後の最後にテスト入団で戻ってきた阪神で、野球の深さ、面白さ、考え方を教えてもらった。「プロ野球選手でも野球の“や”の字も知らない」という言葉が鮮明に記憶に残っていますね。

 春季キャンプで「左バッターのインサイドに変化球を投げられるか?」と聞かれたんです。そこに投げられるサウスポーはいないという意味での質問だったのですが、僕は訳も分からず素直に「はい」と答えました。

 もちろんインサイドに投げてはいましたが、さらに内側に食い込む変化球を投げる発想はそれまでなかった。それからサイドスローに転向し、インコースにシュートで攻めて、外角のスライダーで打ち取る僕のパターンが生まれたのです。

 巨人の松井(秀喜)キラーと呼ばれましたが、彼は修正能力があるので同じパターンでは打たれてしまう。シュートとスライダーを意識させることでその裏をかいたり、とにかく考え抜きました。それでも代打の石井浩郎を敬遠し、4番の松井で勝負というサインが出た時は目を疑いましたけどね(笑い)。

 現在、僕は高校生を指導していますが、相手がどう思っているのか観察することを重視している。相手によってかける言葉も違うし、教え方も変えています。レベルも理解力も違うし、性格も違いますからね。

 野村監督から学んだことです。

【プロフィール】
遠山奬志(照治)(とおやま・しょうじ)/ドラフト1位で阪神タイガースに入団。1991年から1997年はロッテ、1998年から現役引退までは再び阪神で活躍した。1967年生まれ。サイドスローの左腕として左打者専門で起用され、松井秀喜、高橋由伸キラーとして活躍。

※週刊ポスト2021年1月1・8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン