「2ちゃんねる」など掲示板での情報交換が盛んだった(時事通信フォト)

「2ちゃんねる」など掲示板での情報交換が盛んだった(時事通信フォト)

 その数日後、ネット掲示板上で見かけたのは、例の映像を見そびれた、というネット住民たちの声。拡散されていたはずの映像はほとんど消されてしまい、残っていなかったのである。映像を保存していた福田さんは、動画共有サービスサイトに持っていた自身のアカウントで「はい、どうぞ」というコメントともに動画をアップ。そのページへのリンクを掲示板に貼り付けた。すると、予想外の反響に驚かされることとなった。

「ネットでは神様扱いですね、ありがとうありがとうと感謝の声が寄せられる。映像が大したことなくがっかりしたとか、著作権法違反だ、という声も少しはあったんでしょうが、そんなことが気にならないような、とにかくものすごい反応。よくない事だとは理解していましたが、病みつきになりました」

このままだったら会社の給料を超えちゃうな

 当時はまだ、ネット上に動画をアップして稼ぐ、という概念は一般的ではなく「YouTuber」という呼称も広まっていなかった。だが、人が集まるということが金になる、と直感した。人が集まってくるコンテンツを産み続け、それを自身のサイトに載せる。そうすれば、サイト上にリンクを貼った広告料などで収益が期待できる。この「アフィリエイト」によって儲けを出す仕組みがあることも、この時ネット上で調べ、初めて知ったのだった。

 しかし、人を呼べるコンテンツなど、そう簡単に作り出せない。たまの休日に外出し写真を撮ることもあったが、とても人様に見せられる代物ではない。文章は苦手だし、世の中の事象を鋭く分析し批評することも、人を笑わせるようなものを書くこともできない。ハッと思いついたのは、あのアイドルの映像だ。

「耳目を引く良い話、悪い話は考えもつかない。でも、R18な映像だったらすぐに用意ができるし、世界中の人たちがあのアイドルの映像のように喜んで見てくれる」

 もちろん、福田さん自身がそういったコンテンツを自前で用意できるわけはない。夜な夜な、家族が寝静まった頃に閲覧していた海外のサイト上に、日本人の非合法な写真や動画があることを知っており、それを活用しようとなったのである。

「そうしたサイトから写真や映像をダウンロードしては、自身の動画アカウント上にアップロードしなおし、そのリンクを自分で開設したホームページ上に貼り付けました。ネット掲示板などに『このサイトはすごいぞ』とホームページへのリンクを貼った自作自演の書き込みもしました。数週間で、1日のアクセスは何千件にもなりました」

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