各一門が抱える「年寄株」の火種

各一門が抱える「年寄株」の火種

 2011年に相撲協会の公益財団法人化に際して、「ガバナンスの整備に関する独立委員会」で副座長を務めた慶応大学商学部の中島隆信教授はこういう。

「はっきりいって年寄株制度の運用は、公益法人とはいえないやり方です。当時、我々もかなり厳しく改革を求める答申を出しました。ただ、放駒理事長(元大関・魁傑)は“年寄株を巡るこれまでのやり方に手を付けることは無理です。権限もないし、力もない”と話していた」

 理事長自ら、「改革は無理」と諦めていたのだ。

「それでも理事長が“金銭的な取引はやめる”といったので、我々もよしとした。だが、当時は八百長問題のほうが注目を集め、年寄株の話はウヤムヤなまま公益法人認定されてしまった。

 本来、協会に残って仕事をすべき人が年寄株を手に入れられずに廃業し、逆に能力を著しく欠く人が金銭やタイミング、人間関係など不透明な理由で後継者として協会に残れてしまう。公益法人として望ましくないのは当然でしょう」(中島氏)

※週刊ポスト2021年1月15・22日号

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