スポーツ

角界トラブルの温床「親方株」 継承ルールは“抜け道”だらけ

年寄株という不透明な制度がなぜ温存されるのか…(時事通信フォト)

年寄株という不透明な制度がなぜ温存されるのか…(時事通信フォト)

 いくら現役時代に名力士として成績を残しても、年寄株がなければ日本相撲協会を去るしかない。それが大相撲である。それゆえ、所有者にとっては強大な既得権益となり、金銭や協会内の勢力争いなど様々な場面で道具として扱われてきた。

 協会が公益法人になるタイミングが、この悪弊を改めるチャンスだったのだが、八百長問題に対応していた当時の放駒理事長(元大関・魁傑)も、この改革は無理と諦めた過去がある。

 この年寄株の継承を巡っては「特例」が多い点も問題だ。襲名の条件に「幕内・十両を通算30場所以上」とあるが、2013年に引退して借株の「君ヶ濱」を襲名した元前頭・寶智山は幕内・十両で通算29場所と条件に届いていない。

「引退直前の理事会で『28場所でも名跡の前保有者や師匠、保証人となる親方の願書があれば理事会決議で是非を決定できる』と規程が改められていたのです。他にも部屋の継承者に指名されれば条件が緩和されるなど、ご都合主義の“抜け道”だらけだ」(古参力士)

 八百長の仲介役である「中盆」を務め、その実態を告発した元小結・板井は、引退後に「春日山」を借株で襲名する予定だったが、引退会見のために紋付羽織で国技館まで出掛けたところ、当時の二子山理事長から「ここ10年で巡業に2回しか参加していない」という理由で、襲名を認められなかった。板井圭介氏は2018年に亡くなったが、生前にこう振り返っていた。

「私が廃業に追いやられたこともそうだが、協会はすべてにおいて明確なルールがなく、親方衆の力関係や理事長の一存で物事が決まる組織だ」

 2014年には、65歳の定年後に70歳までの再雇用が認められた。12月に定年を迎えた高砂親方(元大関・朝潮)が部屋付きの錦島親方(元関脇・朝赤龍)と名跡交換して協会に残ることになり、7人が年寄株を持ったまま再雇用されている。

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン