罵倒されても教えてもらうべき技術
──日本社会に起きていることをわかりやすく分析・解説されていますが、一つに、コロナは「家族の問題」をあらわにしたと指摘されています。
藤森:コロナは綻びているものを炙り出していると思います。その一つが「家族」ですね。昨年、学校が一斉休校になったとき、SNS上は批判的な意見で大騒ぎになったことに驚きました。これでわかったのは、現代の日本の親は、子どもの養育のかなりの部分を学校の役割としていることです。学校給食がなくなると、食べるものに困窮する子供もいますし、また、家庭内の虐待の問題もあります。もはや機能不全を起こしている家族が少なくない現実を日本社会は受け入れるべきでしょう。結婚して子供を産んで育てるという生き方は誰でもできることではないし、しなくてはいけないことでもないんです。
──テレワークが進むことによって「働き方」も変わりつつあります。
藤森:仕事そのものが好きなのか、人と群れているのが好きなのかも、はっきりしましたよね。人と群れているだけの人ほど、テレワークを嫌がるようです。
──大学をはじめ「教育」のオンライン化も進んでいますが、これもすでに進行していた動きが加速していると。
藤森:アメリカには完全オンラインで学位取得できる大学が400以上ありますが、日本には2020年時点で2校のみです。が、海外に比べて遅れていた高等教育機関のオンライン化に、コロナで拍車がかかりました。学びたい人にとって、環境はよくなっています。もともと小・中・高のオンライン化もコロナ前からの国策だったんですよ。政府はそうした情報をすべて公表しているのに、案外、知らない人は多いですね。