──コロナは2022年まで続くかもしれないという予測も紹介されている通り、この長期戦を生き抜く覚悟と希望が必要ですね。
藤森:今は、いろんなことがバレる時代です。芸能人の不倫も、政治家の嘘もバレる。だから人は道徳的になりつつあるし、本に書いたとおり、企業も利他主義の方向に進むだろうと予測されています。つまり、オープンハートでフェアに正直に生きていく人が、生きやすい時代になるということです。
男性が女性を搾取するのもアンフェアだし、女性が男性をATM扱いするのもアンフェアです。大学教員時代、私がポストを得ると、「どんな手練手管を使ったの?」と嫌味を言われたことがありますが、私は何もしていません。たとえ枕営業をする人がいても、好きにすればいいと思いますが、そういうことをしないと仕事を得られない、生きていけないと思っている人こそ、本質的に自分を信頼していないのだろうと思います。
当面はコロナで混乱が続くと思いますが、その後、世界は大きく変わります。「そのへんの普通の人間」であっても、手を抜かずに自分ができることを必死にやっていれば、人の足を引っ張らなくても、誰かに媚びなくても、自分の力で何とか生きていけます。大丈夫!
【プロフィール】
藤森かよこ(ふじもり・かよこ)/1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。福山市立大学名誉教授で元桃山学院大学教授。アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者。訳書に『水源』『利己主義という気概』ほか。