日本では1月中旬現在、ファイザー製のワクチンが承認申請中(モデルナ、アストラゼネカは今春以降の承認予定)。2月下旬にも医療従事者1万人に接種して、体調変化をみる安全性調査が行われ、その後、2月下旬から新型コロナの診療や搬送にあたる医師、看護師、救急隊員ら400万人の接種が始まる段取りだ。
国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが説明する。
「必要な医療従事者に行き渡った後、ようやく一般市民の番です。国の指示のもと、市町村が対象者に『接種券(クーポン券)』を送付し、接種者はそれを医療機関に持参して受ける仕組みです。対象者は、インターネットの専用サイトから居住地にある予約可能な医療機関を事前予約し、1人2回接種します」
対象者の優先順位は「リスクの高い順」だ。
「3月下旬以降に65才以上の高齢者にクーポン券が配布されて、その後、基礎疾患を持つ人、介護従事者、60~64才が接種対象になります。それらに該当しない一般の人へは4月以降が予定されています」(一石さん)
対象者は当面、16才以上とする方針で、接種は原則として、居住地の市町村で行う。接種費用は、全額が国の負担だ。場所は医療機関のほか、体育館など公共施設の利用も予定される。
なお、接種は義務ではない。政府はあくまで接種を推奨するだけだ。仕事の都合などで打たなければならない人もいるかもしれないが、基本的には打つか打たないかは個人の裁量だ。ただ、どう希望しても叶えられないことがある。
「原則として接種者は、どのメーカーのワクチンを打つかを選べません」(一石さん)
自分で選べないことがなぜ問題かと言うと、ワクチン接種には少なからずリスクがあるからだ。
歴史を振り返ると、1948年のジフテリア、1970年の種痘、2005年の日本脳炎など、ワクチンの副反応による薬害事件が何度も発生した。1976年にアメリカで発見された新型インフルエンザでは、約4000万人がワクチンを接種し、500人以上が副反応に苦しみ、30人が亡くなった。