今も熱烈なトランパーは多いが、彼らは必ずしも過激派ではない(CNP/時事通信フォト)

今も熱烈なトランパーは多いが、彼らは必ずしも過激派ではない(CNP/時事通信フォト)

 日本では、トランプ支持者は陰謀論や右翼思想に染まった人ばかりだと思われがちだが、それだけで国民の半数近くが支持することはあり得ない。アメリカでは、伝統的に社会主義的政策を嫌う人が多い。トランプ氏が極端な右寄りの政策をとったことで、民主党は逆に極端な左派が勢力を伸ばした。トランプ氏には問題があったにせよ、社会主義的な政府ができることを嫌い、トランプ氏に再選してもらいたいと考えていたアンナのような普通の国民も少なくないのである。

 だが、アンナには気になることがあった。東部のコネチカット州は、圧倒的に民主党が強い地域だ。我が家の近所も、民主党支持のリベラル派の牙城である。堂々とトランプ支持などとは言えないのである。アンナは言う。

「トランプ支持は隠さなければなりません。私たちはトランプ氏の集会に行きました。それが近所に知られ、それからあまり相手にされなくなりました。トランプ氏は私たちの言いたいことをズバリと言ってくれます。社会主義政権はアメリカをダメにします」

 彼女は、トランプ氏がテレビに出て話していると、ついどこでも自然にテレビの前に立ち、その演説を聞き入ってしまうというのだ。アンナは東欧出身だが、同じく社会主義の国から逃げてきたキューバ移民などにもトランプ支持者は多い。これも日本では誤解がありそうだが、移民や外国人が、必ずしも民主党支持ではない理由はさまざまある。

 アンナのケースのように、トランパーが自分たちの主義主張を全否定され、社会の隅に追いやられれば、ますます意固地になり、なかには危険な過激派になっていく者もいるだろう。仮にも国民の半数近くの支持を得てきた前大統領をあまり馬鹿扱いすべきではないのだ。人間の社会にも、作用反作用の力学が働くことを忘れてはならない。

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