(AFP=時事)

『その女、ジルバ』に主演する池脇千鶴(AFP=時事)

4作の中からお気に入りが見つかるはず

 それぞれの作品に目を向けると、『その女、ジルバ』は、40歳独身で仕事では左遷されるなどの暗い日々を送っていた笛吹新(池脇千鶴)が高齢熟女バーで働きはじめたことで、生きる喜びを取り戻していく姿を描いた人生賛歌。ヒロインだけでなく、世の中の女性たちを応援するような物語は早くも熱い支持を獲得しています。

『書けないッ!?』は、妻子のために家事に励む脚本家兼主夫の吉丸圭佑(生田斗真)に望外の大仕事が舞い込み、悩みながらも奮闘するホームコメディ。凡人・圭祐と天才・奈美(吉瀬美智子)の対比と、それでも仲のいい夫婦像、さらに夫婦を取り巻く個性的な登場人物とのやり取りが好意的な声を集めていました。

『ここは今から倫理です。』は、第1話の冒頭から高校生の性描写シーンで驚かせた上で、主人公の倫理教師・高柳(山田裕貴)の言葉で深く考えさせる落差があり、「今回も『よるドラ』は攻めている」という声が挙がっています。

 いずれも力作で好スタートを切っただけに、ネット上には「どれを見るのか困る」「時間かぶっているのがもったいない」などの声が見られました。

 この3作に加えて、23日スタートの『モコミ』も主演・小芝風花×脚本・橋部敦子のオリジナルで文句なしの力作。「ぬいぐるみ、石、植物などの感情を持たないモノの気持ちがわかってしまう」という繊細な感覚のヒロインと家族のヒューマン作で、コロナ禍を癒すような優しい物語になりそうです。

 結果的にこれほどの力作ぞろいになったのは、「最大の激戦区」だからこそであり、少なくとも多くの人が4作の中から1作はお気に入りのドラマを見つけられるのではないでしょうか。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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