芸能

綿引勝彦さん 『天までとどけ』の子供たちと築いた絆と闘病生活

XVc

パート5が始まる前の“夫婦”のツーショット(時事通信フォト)

「11月末がお父さんの誕生日だったから、《お父さんおめでとう》ってみんなでLINEグループに送り合ったばかり。『丸山さん家のご家族』っていうLINEグループがあって、そこでやり取りをしていたんです……」

 13人の子供がいる大家族を描いた『天までとどけ』(TBS系)は、昼ドラの歴史にその名を刻む名作だった。少子化が進む1990年代初頭にあって心温まる大家族のやり取りが反響を呼び、パート8まで続く人気ドラマとなった。

 その大家族・丸山家をまとめる父親役の俳優・綿引勝彦さんが昨年12月30日に膵臓がんで亡くなっていたことがわかった。75才だった。奇しくも、母親役の岡江久美子さん(享年63)も昨年4月に新型コロナウイルス感染症による肺炎のために亡くなっている。“両親”が同じ年に立て続けに亡くなる悲しさは計り知れない。冒頭の言葉に継いで、最後となった会話を語るのは、四男・五郎役を演じた俳優の須藤公一(43才)だ。

「12月2日、いま思うと亡くなる4週間前でした。いつものように電話で他愛のない話をしました。ただ、いつもより声に元気がない気がして『体調は大丈夫ですか?』と聞いたら『あんまりよくはないんだ』と。でも、まさか、そんなに悪かったなんて……もっとたくさん話しておけばよかったです」

 ドラマは1999年で幕を下ろしたが、キャストはいまでも、綿引さんを“お父さん”、岡江さんを“お母さん”と呼んでいるという。そしてふたりは、子供たちを役名で呼んでいた。綿引さんは、不意に子供たちに電話をかけることがあったという。

「年に数回、“これから飯でも行かないか?”ってね。それでご飯を食べに行くんです。話題は決まって子供たちの近況。あいつはどんな感じだ、元気にしてるのかなんて、カットレモンを入れた焼酎の水割りを片手に、気にかけてくれていました」(前出・須藤)

 その場から“お母さん”に電話をすることもあった。

「2年くらい前のことです。『ママかい? しばらく、しばらく』なんて、お父さんも楽しそうでした」(前出・須藤)

 個別に声をかけるだけでなく、大家族が一堂に会することも。丸山家は年に一度、同窓会を開いていたのだ。

「昨年はコロナの影響で開けなかったので、一昨年の6月が最後。そのときは1次会の途中でお父さんが『ピザが食べたい』と言い出して、2次会はピザ屋、3次会はカラオケでした。お父さんもお母さんも、楽しそうに歌っていましたよ。お父さんはそのとき、自分が膵臓がんであることを知っていたんですよね。でも、そんなそぶりを見せることはありませんでした」(前出・須藤)

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン