継続することは、必ず将来の自分にとって力となる──子供のときから教わってきたが、それは、若い頃に限った話かもしれない。50才、70才という人生の節目になると、守り続けてきた習慣が生活を不便にする可能性がある。新たなことに挑戦するためにも、余計なものは手放した方がいいかもしれない。
「2~3年前から、『ペーパーレス』にして、『紙』をやめました。もう15年以上、毎年、スクラップブックを作って、台本から取材記事まで宝物のように大切に保管していたのですが、よく考えてみたら、あんまり見返していないことに気づいたんです」
そう笑うのは、昨年12月に70才を迎えたばかりの歌手・イルカだ。IUCN国際自然保護連合親善大使も務めるイルカは膨大な公的資料を抱えることもあり、以前は事業系ゴミとして有料で処分していたが、それらもすべてパソコン上で「データ」としてやり取りするように変えたという。
「写真を紙に焼くのもやめて、すべてデジタルで整理しています。台本も持ち帰らず、テレビ局で処分してもらっています。50、60才のときは漠然と『いつか役に立つはず』という気持ちがあったのですが、70才になると自分の先が見えるようになり、『いつか』はいらないという考えに変わりました。
いま手元に置いているのは、税金や保険、銀行や両親の介護に関する資料など、“いますぐ”必要なものだけ。おかげで、重要な書類がパッと取り出せる。やっておいて大正解でした」(イルカ)
取っておいてもまったく使わないのなら、それはもはや“ゴミ”。学ぶことは多そうだ。
※女性セブン2021年2月18・25日号