実娘のイバンカ・トランプ氏も、地元フロリダ州から出馬するとの説があるが、こちらについては今のところ世論の反発が強いために流動的だ。その流れを変えるとすれば、まさにトランプ・チャンネルの力だろう。
右派メディア設立と選挙戦略はもちろん深く結びついている。トランプ・チャンネルを通じてこれまで以上に過激な右翼的言動で有権者を煽り、その経営でカネを集めて選挙資金にする。トランプ氏が影響力を維持すれば、共和党の候補者を決める力も事実上握れる。そして、自身は「やらない」と言ったSNSを使った扇動は、恩赦して無罪放免した側近スティーブン・バノン氏が担うだろう。バノン氏の友人の一人は、「彼ほどソーシャル・メディアをよく知り、その戦略に長けた男はいない」と断言する。同氏はアメリカのみならず、日本を含む世界中に右翼ネットワークを張り巡らせ、大きな影響力を持つとされる。ある研究機関の調査では、アメリカ本国以外でトランプ氏が広めたデマが一番広がっているのが日本だという。これもバノン氏の動きと無関係ではあるまい。
もうひとりのキーマンはイバンカ氏の夫ジャレッド・クシュナー氏だが、バノン氏とはライバル関係で、必ずしも共闘できるかはわからない。「トランプ影の内閣」の動きから引き続き目が離せない。
■佐藤則男(ニューヨーク在住ジャーナリスト)