三崎氏は、新たに事業を立ち上げることを決意。少ない資本で成功するためには、伸びる分野を探さなければならない。そこで役立ったのが、ぼろ負けした株式投資で学んだ企業分析だった。
「上場企業や事業規模の似ている会社の決算書を読み漁り、朝から晩まで企業分析に没頭しました。徹底的にリサーチしていくうち、美容業界と通販事業の伸びが特に大きいことに気付いたんです。『これだ』と思い、すぐに休眠させていたメディアハーツを再開、新たに美容部門を立ち上げました。投資の勉強をする前だったら、決算書なんて見向きもしなかっただろうから、引きこもりの時間も無駄じゃなかったんです」
この時立ち上げた新規事業の柱となったのが、後に年商130億円の大きなビジネスに成長する青汁の通販事業だ。
「経営者は、ここぞという時にどれだけアクセルを踏んでリスクを取れるかが大事。もし投資でちまちま儲けていたら、小さくまとまってしまっていたかもしれない。そう考えると、人間関係で苦労したことも、無一文になったことも、ぼくにとって必要だったと感じています」
「人生は1回しかないんですから」そう語った三崎氏。石橋を叩いて渡るような慎重なタイプだったら、現在の実業家・三崎優太は生まれていなかっただろう。
取材・文/小山内麗香