足がむずむずして寝られなくなった
【58才・パート Bさんのケース】
いつ頃からか、布団に入るとなんだか足がむずむずして不快感を覚えるようになりました。しばらくはそのままにしていましたが、最近はむずむず以外にも足がほてる、しびれる、かゆいなどの症状が加わって、眠れなくなることもしばしば。もう、布団に入るのが嫌になってしまいました。これって病気なんでしょうか?
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Bさんのケースは、「レストレスレッグス症候群」で、次の4つが診断基準となる。【1】下肢がむずむずするなどの異常感覚が出現。【2】じっとしていれば悪化し、【3】動くと楽になる。【4】夕方から夜遅くなるほどひどくなる。
しかし、午前3時頃から症状がなくなるのが特徴だ。久留米大学医学部神経精神医学部教授の内村直尚さんが説明する。
「これは、一般的にはあまり知られていないため、脊柱管狭窄症など整形外科的な病気と勘違いして来院する人も多いのですが、睡眠外来なら見逃さずに鑑別できます。
40才以降の女性に多いほか、鉄欠乏性貧血の高齢者に多く、60才以上の5人に1人はかかる病気です。睡眠薬ではなく、ドーパミンを増やすパーキンソン病の薬を10分の1程度、就寝前に服用すれば、8割の人が1週間で改善します」
悪夢が続いて寝言が頻繁に
【45才・主婦 Cさんのケース】
最近よく悪夢を見るようになり、夫に話すと、「寝言で叫んだり、手をバタバタさせたりしている」と言われました。朝起きてもすっきりしないし疲れもとれません。自分では気づかないけど、何か心に引っかかっているのでしょうか。
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悪夢を見て大声を出すのは「レム睡眠行動障害」の症状。
「悪夢はうつ病やPTSDなどでも起こりますが、レム睡眠行動障害は、悪夢を見て寝言や行動に表れる点が特徴。
この病気で怖いのは、悪夢を見たまま跳んだり、走ったりしてけがをしたり、させたりすることです。本来レム睡眠時は体が動かないように抑制されますが、その抑制が外れてしまう。治療のために抗てんかん薬を服用すると、1週間で効果が表れ、夢の内容がやさしく変わり、寝言も小さくわかりにくくなります」(内村さん)
正しい治療で症状は改善する可能性が高い。まずは専門医に相談を。
【プロフィール】
白濱龍太郎さん/睡眠専門医。RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック院長。2013年に睡眠と呼吸に関して幅広く診療を行う同院を設立。著書に『熟睡法ベスト101』(アスコム)など。
内村直尚さん/睡眠障害のエキスパート。久留米大学医学部神経精神医学部教授。同大学の学長で、主任教授も務める。著書に『不眠とストレス』(創元社)など。
取材・文/北 武司
※女性セブン2021年3月11日号