• TOP
  • 特集
  • 「柔らかい部分に挟まれたい願望」 遺伝子を残したい本能と関連か

特集

2021.03.03 15:59  週刊ポスト

「柔らかい部分に挟まれたい願望」 遺伝子を残したい本能と関連か

多くの学者が挟まれたい願望の根源を研究(写真はフロイト)

多くの学者が挟まれたい願望の根源を研究(写真はフロイト)

 女性の胸、太もも、お尻の狭間――その魅力を追求すれば、実に奥深い謎が横たわっている。

「興味深い心理ですが、科学的な根拠を見つけるのは難しくもあります」

 そう語るのは、元日本性科学会常務理事で精神科医の塚田攻氏だ。

「男児では妊娠3か月頃から男性ホルモンが分泌されて性器に影響が出始めます。妊娠7か月ほどで脳にも男性ホルモンの影響が現われ、男性としての性行動を取るよう方向づけられます。子供の頃に障子に穴を開けたり、狭い隙間に入ろうとした経験を持つ人もいるでしょう。生物としての本能的な行動で、挟まれようとするのも、男性の性行動の変異の一種とも考えられます」

 動物行動学者の竹内久美子氏はこう指摘する。

「2004年のポーランドの研究で、女性を胸の大小、ウエストのくびれの有無で分けて比較したところ、胸が大きくてウエストが細い女性が最も妊娠しやすいとの結果が出ました。まさに胸に挟まれるための理想の体型であり、自分の遺伝子をよく残すための本能と関わっているのではないか」

 精神分析学の観点ではどうか? モナッシュ大学マレーシア校准教授の渡部幹氏が説明する。

「精神分析学の始祖はジークムント・フロイトですが、後世にその理論の修正を図った新フロイト派の学者オットー・ランクによれば、人間は出生により孤独を味わい、自立を余儀なくされる『出生トラウマ』を負います。ヒトはこのトラウマを癒やすために、家族や恋人などへの所属を求めるようになる。

 ところが、男性社会の苛烈な競争に身を置くと、支配/被支配という人間関係が主となり、『出生トラウマ』を癒やす機会が少なくなる。そこから逃れたい男性は、赤ちゃんが子宮に包まれているような安心を求めて、女性の“柔らかい部分”に『挟まれたい』という欲望が現われると考えられます」

 挟まれたい願望は、かくも深遠な心の揺れ動きなのである。

※週刊ポスト2021年3月12日号

関連記事

トピックス