海外の高額宝くじを国内で買うのは違法?
ところで、この法律に基づかずに、宝くじを独自につくって事業を行うことはできるのだろうか。じつは、日本では刑法第187条により、富くじの発売、取次ぎ、授受をした者は、犯罪(富くじ罪)として罰せられる。
このため、宝くじを勝手に作って発売したり、海外の高額宝くじを国内で通信販売などにより購入したりすることは“違法”となる。
なお、刑法には、第35条(正当行為)に、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」という規定がある。国内で発売される宝くじは、当せん金付証票法という根拠法があり、この規定に該当するため、違法性がしりぞけられているわけだ。
ちなみに、MEGA BIG、BIG、totoなどのスポーツ振興くじは、「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」(1998年制定)に基づいて発行される。これらは法律上、「スポーツ振興投票券」となる。いずれも根拠法があるので、違法ではない。
海外の宝くじに比べて当せん金の最高額が少ないのはなぜか
海外のメディアでは時々、「宝くじで7億ドル(約750億円)を超える高額当せんが出た」といったニュースが流れることがある。「そんなに高額の当せん金を手にした人は、この先、一体どうなってしまうのだろうか」などと、余計な心配をしてしまう人もいるだろう。
日本では現在、宝くじの当せん金の最高金額は、年末ジャンボ宝くじの1等・前後賞合わせて10億円、ロト7でキャリーオーバー発生時の1等10億円となっている。スポーツ振興くじのMEGA BIGは、キャリーオーバー発生時に1等最高12億円とされている。実際にこれまでに何回か、1等12億円が出ている。
こうした当せん金の最高金額は法律で規制されている。当せん金付証票法では、つぎの規定がある。
「証票金額(くじの金額)の50万倍に相当する額を超えてはならない。ただし、総務大臣が当せん金付証票に関する世論の動向等を勘案して指定する当せん金付証票については、(中略)証票金額の250万倍(加算型当せん金付証票で加算金のあるときにあつては、500万倍)に相当する額を超えない範囲の額とすることができる」(第5条/当せん金付証票の当せん金品の限度 第2項)
この規定に基づいて、年末ジャンボ宝くじの場合は、総務大臣の指定により250万倍までとされている。1枚300円の宝くじの場合、最高金額は7億5000万円までとなる。現在の10億円は、1等7億円と、前後賞1億5000万円×2本の合計だから、法律の範囲内となる。
もし1等当せん金を8億円などに引き上げるには、法改正が必要となる。日本では「1等・前後賞合わせて30億円」といった超高額の当せん金の宝くじはできないわけだ。
ちなみに、スポーツ振興投票の実施等に関する法律にも、その施行令で、同様に最高金額が規定されている。1枚300円のMEGA BIGについては、キャリーオーバー発生時の1等当せん金の最高金額は、法令上500万倍の15億円が限度とされている。