教科書の内容解説資料によれば、「希望、勇気、努力」の尊さを伝え、「夢や目標の達成を支えた人知れぬ努力や苦悩、幼少期の体験などから、児童が人物を身近に感じ『人間として生きることの素晴らしさ』を感じ取れるよう配慮」したものだという。他にもレスリングの吉田沙保里や陸上短距離のウサイン・ボルトなどが取り上げられていた。
もちろん、福原のアスリートとしての活躍は、教科書に載ってしかるべき輝かしいものだ。一方で、保護者のモヤモヤもわからなくはない。
この教科書は、令和2年度は東京都港区など各地で採択され、令和3年度も約17万部(ノートとの合計)が小学生の元に届けられる予定だ。教科書の検定を行う文科省は「教科書で取り上げられた人が不祥事を起こしたことを理由に、こちらから『直してください』ということはありません。修正する場合は訂正申請をしていただくことになります」(文科省初等中等教育局教科書課)という。版元に聞くと、「文科省への訂正申請については、さまざまな条件に照らして検討していきます。もともと福原さんの幼少期のエピソードは、学習指導要領で定められた道徳の『希望と努力、勇気と強い意志』という内容に合うと考え、取り上げました」と答えた。果たして福原は引き続き教科書に掲載されるのだろうか。