ライフ

印刷博物館【1】関ケ原の戦いで繰り広げられた“印刷バトル”に壇蜜驚く

重要文化財『駿河版銅活字』1606~1616年、徳川家康が遺した銅活字。展示室内には駿河版小活字も展示されている

重要文化財『駿河版銅活字』1606~1616年、徳川家康が遺した銅活字。展示室内には駿河版小活字も展示されている

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜。日本美術応援団の2人が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京都・文京区の印刷博物館の第1回。2人が重要文化財にもなっている「銅活字」などを見て回る。

壇蜜:印刷博物館の展示室へと続く回廊では古代のラスコーの壁画やロゼッタ・ストーン、江戸時代の浮世絵や1964年の東京五輪ポスターなど、様々な展示が壁面を飾っています。

山下:プロローグと呼ばれる導入路で、紀元前から人類が刻んできたビジュアルコミュニケーションの足跡を豊富な歴史的史料のレプリカと共に辿っています。

壇蜜:印刷=コミュニケーションの手段であることがプロローグからよくわかりますね。展示室ではいかに印刷技術が発展してきたのか、体系的に学べます。

山下:昨秋に印刷の日本史を中心に展示がリニューアルされ、日本での印刷の形成・発展を深く掘り下げる構成となりました。『百万塔陀羅尼』は奈良時代に印刷され、年代が明確な印刷物としては世界最古です。

壇蜜:重要文化財の『駿河版銅活字』は江戸時代。日本人の手による銅活字を初めて世に送り出したのがあの徳川家康だったとは!

山下:家康と覇権を争った豊臣秀頼や直江兼続なども木活字を使い、印刷や出版に熱心に取り組みました。

壇蜜:関ヶ原の戦いの裏では書物の印刷を通じた知的バトルがあったのですね。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●印刷博物館
【開館時間】10時~18時(最終入館は閉館30分前まで)
【休館日】月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替え期間
【入館料】一般400円
【住所】東京都文京区水道1-3-3トッパン小石川ビル

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年3月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン