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木内みどりさんの夫が実践 常識にとらわれない心のこもった送り方

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実業家の水野誠一さんが振り返った亡き妻のこと

 パートナーを失った悲しみは並大抵のものではない。もしも配偶者に先立たれた時、残された者はどうなるのか──。

 俳優の木内みどりさんが亡くなったのは2019年11月18日未明。仕事先の広島県のホテルで、急性心臓死だった。夫の水野誠一さんは、「同じ頃、ぼくは出張先の上海から帰ったところでした。その朝、現地スタッフから電話で訃報を聞いたのです」と回想する。

「聞いた瞬間は腰が抜けるほど驚きました。彼女は健康診断でもずっと異常なしでしたから。でも一方で『ああ、やっぱり』と妙に納得したのも事実です」(水野さん・以下同)

 その理由は、木内さんが常々「私の方が先に死ぬ予感がする」と言っていたから。

「2011年の東日本大震災以降、みどりは『人間いつ死ぬかわからない』と、強く思うようになりました。遺言書を書いたのもこの頃。内容は、『死んだら読経、戒名なし、葬儀社が仕切るようなことは一切なし……』というものでした」

 水野さんは、娘の頌子さんと広島に向かい、警察署で木内さんと対面。そのまま広島で火葬を行った。

「このままみどりを東京に連れて帰ったら、まわりに流され、彼女の嫌がる葬儀をすることになる。娘と『お母さんの希望通りにしよう』と話して決めました」

 その晩、駆けつけてくれた友人を含めた4人で “通夜”の食事をし、翌日、火葬。

「火葬場では、私たちだけがふだん着で、ほかの喪服の人たちから『この人たち何?』という目で見られていました」

 と、笑う。その後、木内さんが生前希望していた場所に散骨。逝去から3か月後、親しい人だけを招いた「送る会」を催した。泣かせる演出はなし。「みどりさんらしいね」と出席者が話したように、笑いの絶えない会になった。

「本当は、みどりはそういう会も嫌だと言っていたので、1つだけ約束を破ってしまいましたが(笑い)、まあ許してくれるでしょう」

 二人は、以前から「お互いに延命治療はやめよう」と日本尊厳死協会に登録していた。

「娘とも折に触れて死後についての話をしていましたから、突然の別れに際しても、常識にとらわれず、家族の総意による“本当に心のこもった送り方”ができたと思う」

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