日本テレビとしても、『ズームイン!!朝!』から続く男性アナの流れを絶って女性を登用したことは、「女性が活躍する会社」という印象を得るためのターニングポイント。折しも、東京オリンピック・パラリンピック関連で女性差別問題が物議を醸していることもあって、同局のイメージアップは間違いないでしょう。
そもそも、人気とアナウンス技術に加えて、「会社とアナウンス部が好きすぎて独立は考えたことがない」と断言している水卜さんは、要職にうってつけの人材。水卜さんが抜ける『スッキリ』に次期エース候補の岩田絵里奈さんを起用することも含め、日本テレビにとっては最高の人材を有効活用できる上に、「女性が活躍する会社」と印象づけられる一石二鳥の人事となりそうです。
水卜麻美と夏目三久の不思議な縁
余談ですが、『あさチャン!』の夏目三久さんは元日本テレビのアナウンサーであり、入社1年目にいきなり『思いっきりイイ!!テレビ』のアシスタントに起用されました。一方、水卜さんも1年目にいきなり『ヒルナンデス!』のアシスタントに起用されるという似た経歴を持っているのです。
特筆すべきは、どちらも昼の生放送かつ、帯の新番組だったこと。さらにパートナーは、みのもんたさんと南原清隆さんと言う大物芸能人であり、大抜擢だった様子がうかがえます。新人時代から期待され、鍛えられてきた2人が今春から同じ時間帯の生放送帯番組で火花を散らすことに不思議な縁を感じてしまうのです。
ちなみに水卜さんが日本テレビに入社したのは2010年4月で、夏目さんが日本テレビを退社したのは2011年1月であり、2人が同時在籍した期間はごくわずか。大きな影響を受けるほどの時間はなく、もともとのキャラクターも現在の立場も大きく異なりますが、「ほとんどいない女性単独の総合司会に登り詰めた」という点では同じ。2人の相乗効果で女性アナウンサー全体の地位を引き上げていくのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。