自動運転が進むと、自動車保険の保険料はどうなる?

 最後に、自動運転が保険料に与える影響について考えてみよう。

年間8万円超の高額負担となっている自動車保険料

年間8万円超の高額負担となっている自動車保険料

 2018年度に契約車両1台あたりの平均で、自賠責保険料は2万5000円、自動車保険は5万7000円に上っている(損害保険料率算出機構の統計による)。合計で年間8万円超と、結構な金額の保険料負担となっている。

 保険料は事故による損害賠償等の保険金支払いを契約車両で分担する形で設定される。事故が発生しにくくなったり、事故に遭っても重傷になるのを避けられたりする装置を付けた自動車には、保険料の割引きも行われてきた。たとえば、自動ブレーキ割引や、エアバッグ割引などだ。

 その延長線で考えれば、何十年か先に、完全自動運転の自動車だけの社会が実現して、自動車事故が減少すれば、保険料は低下する可能性があるといえるだろう。

 ただ、そうなるまでの移行期間は様々な自動運転レベルのクルマが混在する。人が何らかの形で運転に介在する限り、事故は起こるだろう。加えて、サイバーセキュリティー問題など、自動運転ならではの原因で事故が起きる可能性もある。当面はこれらの要素をどのように保険料に反映していくか、損保会社の模索は続くだろう。

 今年になって、保険料に自動運転車の安全性を反映させる自動車保険を取り扱う会社も出てきた。走行距離や運転挙動に応じて保険料を設定する「テレマティクス自動車保険」について、「自動運転モード」中の走行距離・運転挙動を運転分保険料に含まずに、無料化するという取り扱いだ。

 たとえば、所定の条件のもとで、年間走行距離1万2000kmのうち、レベル3の自動運転モード利用が6000kmだった場合、保険料は11万6040円から9480円下がって10万6560円になるという(あいおいニッセイ同和社「タフ・つながるクルマの保険プラス」のプレス資料より)。

 今後、自動運転システムの開発は、さらに高いレベルへと進化していくはずだ。これに伴って、自動車保険の役割にも大きな変化が求められるだろう。

 レベル5の「完全運転自動化」が達成されるときに、自動車保険はどのように変わっているのか、今後の動向に注目していきたい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン