しかも、その授業内容が非常に濃いのが印象的だ。
葉一さんの授業にはホワイトボードが使われる。そこには事前にオリジナルの穴埋め問題が書かれており、それに沿って授業は進められる。
だが、すぐに解説を始めるわけではない。
《もしよかったら、動画を一度止めて、ぜひこの問題を解いてみてください。ただ、苦手だったり、自信のない子はこの後、“1番”から説明していきますので、1回、見ていただけたらと思います》
と、優しく語りかける。その後、再度動画をスタートさせると、授業が始まるのだ。
「理科(身近な生物の観察)」を例にとって見てみよう(画像参照)これは、中学1年生で習う問題。だが、動画では「ルーぺ」の説明からしていく。ホワイトボードに書かれた問題を指差しながら、ゆっくり、はっきりした口調で、
《花などを観察するときに使うもの。これをカタカナで『ルーペ』って言います。覚えてね。ルーペ(中略)。これで花を見るときは、ルーペを目に近づけ、花を動かしてピントを合わせよう! ここは必ずテストに出ます。出なかったときを見たことがない》
と強調する。
理屈をだらだらと説明するのではなく、テストに出そうな重要ポイントを切り出し、何度も繰り返し、「これだけは覚えておいてね」と、柔らかい口調で徹底的に叩き込む。
これが15分に集約され、1本の動画を見ただけで「勉強した」という満足感と達成感が得られるのだ。
「動画を見てくれている子供たちにも、勉強で不安になったら、『俺の動画を見ていたら教科書レベルはマスターできるから、1日1本見るだけでも違うから』と話しています。勉強は、長時間やればいいものではなく、その内容がどれだけ頭に入るかどうかが大切です。これは、大人の勉強でも同じですね」
【プロフィール】
葉一さん(36才)/1985年生まれ。東京学芸大学卒業後、教材販売会社の営業、学習塾講師を経て、2012年からYouTube動画『とある男が授業をしてみた』を配信。公式サイト「19ch.tv(塾チャンネル)」では小学3年生から、中学、高校3年生までを対象にしたテキストを無料でダウンロードできる。
取材・文/廉屋友美乃 写真提供/葉一さん
※女性セブン2021年4月15日号