準々決勝まで3試合で計459球を投じた達だが、登板を回避した準決勝でチームは東海大相模に敗れた。天理の一員として日本一は目指しつつ、甲子園はあくまで通過点だ。
「舞台が甲子園だからといって、自分にとっては普通の公式戦。自分のピッチングが思うようにできなかった。それが感想です」
まだまだ肉体は成長段階にあり、「球数の多さ=制球面の不安」は露呈したとしても、それは高校3年生になる怪物の卵の“のびしろ”でもある。海の向こうへ続く夢の過程としては、またひとつ進化を遂げられた甲子園ではなかったか。
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)、撮影/杉原照夫