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2021.04.04 07:22  産経ニュース

「村山かてうどん」に「武蔵野うどん」… 関東のご当地うどん文化に注目

「村山かてうどん」に「武蔵野うどん」… 関東のご当地うどん文化に注目

 うどんといえば、香川の讃岐地方が有名。しかし、そばのイメージが強い関東にも、ご当地うどんがあり、進化を続けている。東京の多摩地域から埼玉西部に広がる武蔵野台地の一帯は稲作に適さず、小麦の生産が盛んだったことから、独自のうどん文化が育まれた。地域や店によって名称やスタイルは異なるが、茶色がかった太い麺は、コシが強くてパワフル。温かいつけ汁が添えられ、しっかりかんで食べるのが特徴だ。(本江希望)

 温かいつけ汁で…

 多摩地域の北部に位置する東京都武蔵村山市は、都内で唯一、鉄道駅がない市だが、江戸時代からこの地で食べられてきた「村山かてうどん」の店が点在し、遠方からもファンが訪れるうどんの名所でもある。

 冷水でしめたうどんに「かて(糧)」と呼ばれるゆでた地場野菜などを添え、温かいしょうゆ味のだし汁につけて食べるのが特徴。「村山うどんの会」の会長代行、藤本ゆみ子さん(50)によると、元々は農家の日常食で、作業の合間に食べやすいように、あらかじめゆでておいたうどんと野菜を、温かいつけ汁でさっと食べていたのがルーツだという。

 「冠婚葬祭などの食事のしめにもうどんがふるまわれ、かつては『うどんが打てなければ嫁にいけない』といわれることもあったそうです」

 家庭で手作りされていたうどんだが、「玉売り」と呼ばれるうどん麺を販売する製麺所ができ、その後、その場で食べる食堂を備えた店が増えていったという。

 市内の住宅地にあるうどん店「村山満月うどん」は、昭和61年に創業。現在は、2代目店主、比留間良幸さん(52)が妻の麻里さんとともに店を切り盛りし、ふるさとのうどん文化を伝えている。

 「昔ながらの村山うどんのいいところを守りつつ、進化をしていきたい」と意気込む比留間さんが手掛ける定番メニューの「肉汁つけうどん」(800円)は、薄く茶色がかった麺に小松菜やキャベツなどの野菜が添えられており、彩り鮮やか。冷たくしめたうどんをアツアツのだし汁にくぐらせ、口に運ぶと、つるっと表面はなめらかだが、力強い弾力があり、かむほどに小麦の風味が広がる。

 昆布や宗田鰹、いりこなどでだしをとり、近くのあきる野市のしょうゆを使っただし汁には厚みのある豚肉や揚げたナス、油揚げなどが入っており、ボリュームたっぷり。

 「栄養バランスがよく、家庭的な温かさもある村山うどんを多くの人に食べてもらいたい」と比留間さんは笑顔で語った。

 「そば派」から転身

 東京都調布市にある「武蔵野うどん 一彩 本店」は、全粒粉を使った香り高くコシのあるうどんを楽しむことができる店として、人気を集める。店主(56)は前職がサラリーマン。もともとは「そば派」だったが、約20年前、武蔵野台地や周辺に伝わる「武蔵野うどん」と出合い、その世界に魅了されていった。「うどんといえば白い麺だと思っていたので、全粒粉が入ったうどんの香りや風味に衝撃を受けました」

 埼玉や多摩地域にある武蔵野うどんの店を食べ歩いて研究を重ね、平成24年に同店を開業。麺は、試行錯誤の上、長野県で作られた石臼ひきの小麦粉「夢世紀」と全粒粉の「ゆめかおり」を配合。日によって、水や塩の量を変え、練り工程は毎朝、店主が足踏みで40~50分かけて行う。「つま先で、やわらかさ、練り具合を感じ取りながら、踏み込んでいきます」

 定番メニュー「肉汁」(847円)は、焼きあごや羅臼昆布、宗田鰹、ゴマサバなどを使ったこだわりのだしに豚肉などが入ったつけ汁で食べる。茶色がかった8ミリほどの太い麺は、つるっとしていて、歯に力強く跳ね返ってくる弾力と全粒粉ならではの香りが立つ。うどんと向き合い、探求を続ける店主は語る。

 「まだ知らない人が多い武蔵野うどんのおいしさを広めていきたい」 

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