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照ノ富士と白鵬の間に大きな壁 4年前の「土下座事件」の遺恨

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返り咲き大関は居座り横綱に影響を与える(写真/共同通信社)

 一度は序二段まで番付を下げながら、3月場所で優勝を果たし、見事に大関復帰を決めた照ノ富士。膝の故障に苦しんで長く低迷したが、その“元凶”ともいえる事件を起こしたのは、同郷の先輩横綱だった。7月場所に進退を懸ける横綱・白鵬と、土俵上でついに4年越しの怨念がぶつかり合う──。

 3月場所は、番付上位のモンゴル勢の明暗がくっきりと分かれた。

 関脇・照ノ富士は3度目の優勝を果たし、3年半ぶりとなる大関復帰を決めた。平幕以下に転落してから大関に返り咲き、“2度目の伝達式”を経験するのは、1977年初場所後の魁傑以来、44年ぶり2人目となる。

「2017年9月場所で大関から陥落し、翌場所も初日から4連敗して5日目から休場。そこからは坂道を転げ落ちるように負け越しと休場を繰り返し、2019年3月場所では序二段まで落ちた。ほとんど観客のいない時間帯に元大関が相撲を取るなんて、前代未聞です。そんな屈辱的な状況から、幕内、そして大関まで返り咲いた照ノ富士の土俵への執念には、凄まじいものがある」(後援会関係者)

 その一方、3月場所11日目にはモンゴル出身の先輩にあたる横綱・鶴竜が引退を決断。一人横綱となった白鵬も、現役続行の瀬戸際を迎えている。

「長く角界最強の座にあった白鵬だが、3月場所は初日から2連勝したものの右膝のケガで3日目から休場。場所中に膝を手術して復帰は7月場所になり、これで6場所連続休場です。次の本場所の土俵で結果が出せなければ、いよいよ引退に追い込まれることになるだろう」(協会関係者)

 3月場所の千秋楽翌日に開かれた横綱審議委員会の定例会では、白鵬に対して、昨年11月場所後に出した「注意」の決議が継続されることが決まった。「引退勧告」に次ぐ2番目に重い決議だ。

 ただ、「白鵬はまだ現役続行に自信を持っている」とする声がある。若手親方がいう。

「本人は15日間出場すれば優勝できると考えているだろうし、“7月場所は最低2ケタ勝てば現役続行に問題なし”といった認識で、まだまだ延命するつもりではないか」

 たしかに、3月場所の大関陣の体たらくを見れば無理もないかもしれない。朝乃山と貴景勝が10勝5敗、正代に至っては7勝8敗と負け越して来場所はカド番となる。

 そうしたなか、白鵬の“延命計画”に待ったを掛ける存在となりそうなのが、照ノ富士なのだ。

「12勝3敗で3月場所を制し、“今度こそ横綱昇進”を狙うのだから、打倒・白鵬の筆頭格になるのは当然ともいえるが、それ以外にも照ノ富士には対白鵬戦に執念を燃やす理由がある。約4年前の“事件”の因縁です。7月場所では、いよいよ土俵上で決着がつくことになると、関係者の注目を集めています」(同前)

「壁があるので」

 その“事件”とは、モンゴル力士グループの人間関係に、決定的な亀裂を生じさせた2017年10月の「日馬富士暴行事件」である。

「もともと、同じモンゴル勢のなかでも、玉鷲や逸ノ城ら、白鵬と距離を置いている力士はいたが、この事件をきっかけに、グループ内における世代間対立の構図がくっきりと浮かび上がった。事件の経過を辿ると、白鵬と照ノ富士の2人の間にも、大きな“壁”があることがよくわかる」(ベテラン記者)

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