署名運動の動きも
工藤前校長の退任後、2020年4月に新校長に就任したのは、元新宿区教育委員会職員の長田和義氏。工藤前校長とは旧知の間柄で、宿題や定期テスト廃止など工藤体制下で行なわれた改革路線を引き継いだが、生徒の通知表には変化があった。
「2020年の1学期から、『1』が複数付くようになりました。子供に理由を尋ねたら、『授業態度で成績を決められたみたい』と言っていた」(同前)
別の保護者もこう語る。
「いままではどんなに苦手な科目でも『3』でしたが、昨年は複数科目で『2』が付いたので、目を疑いましたね。単元テストの結果が悪いわけでもなく、学校側に理由を聞きに行ったら、『授業に対する積極性や関心度を考慮した』と説明されて……。子供はきちんと授業に出ていたし、工藤校長時代はこんな成績が付くことはなかった。内申点が下がって志望校を変更した生徒さんも少なくなかったと聞きます」
工藤校長はいわゆる“やんちゃ”な子ほど目にかけるタイプで、校長室に呼んで親身に相談にのっていたという。
「でも、新校長は生徒と距離があった。成績についても、工藤校長は頑張れば頑張った分評価する“加点式”でしたが、いまは“減点式”というか、生徒の素行や態度が成績に直結する印象です。そういう学校ではないから入学させた保護者も多く、昨年末には不満を持つ保護者の間で署名運動を起こそうという動きがありました。コロナで立ち消えになっちゃいましたけど」(別の保護者)
こうした声をどう受け止めるか。現在は横浜創英中学・高校で校長を務める工藤前校長に聞いた。
「後任の長田校長は新宿区教育委員会時代の部下で信頼しているし、僕の改革路線をしっかり継承していると聞いています。生徒の成績は基本的には単元テストを元にして、関心度や積極性など授業態度はプラスαの部分。生徒の学び合いを促進するなど、授業に積極的な姿勢があれば加点されることはありますが、態度が悪いからマイナスというのは考えられない」