「そもそも石井や金城のような功労者が現役にこだわるなら、突然通達するのではなく、本人の意思を確認するところから始めるべき。全て球団の都合だけで動こうとしている。彼らに引導を渡して、支配下登録を1枠空けるメリットがどこまであるのか。その1枠を使って入団するドラフトの下位選手が彼らのように大成する確率、彼らが指導者として残った有用性を天秤にかけることすらしていない。その時点での経費削減やチーム事情だけを考えた場当たり的な対応が目立ちました。石井や金城が指導者としてDeNAにいたら、今のような惨状にはなっていなかったかもしれません」

現役引退セレモニーで金城龍彦から花束を受け取る石井琢朗(時事通信フォト)

現役引退セレモニーで金城龍彦から花束を受け取る石井琢朗(時事通信フォト)

1軍コーチの約半数が41歳以下という若い陣容

 巨人は相川亮二や金城龍彦のように、全盛期を過ぎたように見えるベテラン選手をFAで獲得することがある。引退後のコーチ就任まで視野に入れているためだろう。それを「資金力の差」の一言で片付けるのは容易い。

「日本の野球ファンは、お金をかけないで頑張っている球団に肩入れしがちで、お金にモノを言わせた球団経営をすると『金満』などと叩く。しかし、大切なことは『お金の使い方』でしょう。石井琢朗コーチは広島で成功し、昨年就任した巨人でもベテランの中島宏之を復活させた。

 今年、巨人が桑田真澄コーチを就任させ、若手投手陣が成長していることからもわかる通り、コーチの陣容はチーム戦力を左右する。DeNAもコーチに投資しない限り、強くなることはないでしょう。そんなに金銭的に厳しいなら、他の部分を削ることに頭を使えばいい。選手の年俸を活躍したら大幅アップさせる代わりに、1年活躍しなかったら大幅ダウンさせる。DeNAに限らず、日本の球団はアップ額の大きさと比べれば、ダウン幅は小さいですからね。

 無理して育成選手を獲得するくらいなら、それを辞めて、その分をコーチの年俸に当ててもいい。中途半端に他球団のマネをするのではなく、本当にお金がないならば、ないなりに独自の戦略を考えればいい。近年、コーチの年俸は公になっていませんが、DeNAのコーチ陣は他球団と比べて、かなり安いと聞きます。中畑清監督は公称1億円でしたが、実際は8000万円だったらしい。DeNAは、コーチにお金をかけないで強くなろうというオリジナル路線を走っていますが、明らかに失敗しています」

 今年の首脳陣に目を移すと、指導者としては若い41歳以下のコーチが4人もいる。田代富雄巡回コーチを除いた1軍コーチ9人の約半数に当たる。

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