岸田は「ただのいい人」
岸田氏は2位につけた。理由は石破氏と対照的だ。
「勉強もしているし、人柄は抜群だが、政治家としての決断力や闘争心に欠ける。ただの“いい人”と見られているのが欠点」(泉氏=7点)
「発信力が弱い。政策を旗幟鮮明にしないから、他派閥は担ぎやすい。そういう戦略で総理を狙っているのだろうが、総理になれば他派閥の顔色を窺うことになる」(小林氏=5点)
「岸田の親父も平々凡々な政治家だったが、息子は一段落ちる。思想が何もない。中国の言い分を飲んでしまう危うさがある」(屋山氏=1点)
“意固地で柔軟性に欠ける”石破氏も、“ただのいい人”の岸田氏も、評価の内容を聞く限り、「次」を任せられそうにない。
「自民党のホープ」の小泉進次郎・環境相(6位)は「乱世には軽すぎる。国民も不安になる」(小林氏=3点)、「環境相なのに福島第一原発の処理水問題で海洋放出を自分で決断できなかった。哲学のなさ、政治勘の悪さが目立つ」(屋山氏=3点)と力量も経験も足りていないとの意見が多数を占めた。
最下位の稲田朋美・元防衛相は「防衛相時代に見せた実務能力のなさでは総理は無理」(野上氏=0点)などと推す声はなかった。
次の総理は、コロナの感染収束だけでなく、ポストコロナ社会の国の舵取りを担うことになる。10人の総理候補の採点は、トップの石破氏でも合計25点で満点の半分、他はそれ以下だった。
「6点が総理の器のギリギリ合格点として採点したが、10人全員届かなかった」(小林氏)
日本政治の表も裏も知り尽くしたベテラン評論家・ジャーナリストたちが口を揃えて「この政治家であれば」と国の将来を託せる政治家は現在の自民党にはいない。
国民は「新しい政治家」の出現を待つしかないのか。
※週刊ポスト2021年5月7・14日号