彼らの主張──マスクは必要がない、そして「コロナウイルスは存在しない」などという見解は、筆者は受け入れ難い。それでも、そう考えるのは自由だ。本音をいえば、人の迷惑にならないようなアピールをすれば良いと思うのだが、なぜか彼らは、自身に反対する人々の面前にわざわざ出てきては大騒ぎをして、迷惑をかける。暴走族も、街の中の、より多く人がいる場所にワラワラと出てきては、あえてやかましく振る舞うが、それと同じようなものなのか。
「主張というより、嫌がらせです、我々にとっては」
同じく、ノーマスクピクニックの開催予定地になっていたという関西にある公園管理事務所の男性(50代)は、3月の花見シーズンにも、「マスクを外そう」と主張する人々と、公園内で対峙した。
「他の利用者が不安になるから(マスクをしないなら、公園の利用は)あきませんいうのに、コロナウイルスなんかない、騙されとる、と言い返してきて話にならんのです」(関西地方の公園管理事務所の男性)
花見のシーズンが終わり胸を撫で下ろしていたところに入ってきたのが、ゴールデンウィークの「ピクニック」開催の噂。しかし公園には、もう一つ別のトラブルも襲いかかっていた。
「ノーマスクの人たちがやって来たと思ったら、次はノーマスク運動に反対するっちゅう人たちがやってくるようになったんです。公園走ってるランナーがマスクをしとらんから注意せいと、管理事務所に押しかけてきたりとか、マスクしとらんお子さんの親御さん怒鳴りつけて喧嘩になったりね、そういうのが増えた。ピクニックの件でも、かなりクレームの電話いただきましてね、うちは関係ないというても、みなさん納得されんのです」(関西地方の公園管理関係者)
「ノーマスク」も困るが、過激な手法で反対しようとする人々の存在もまた、公園管理事務所の男性を悩ませていたのである。
「実際、ピクニックが行われる予定の他所の公園さんに電話もしましてね、困りましたなぁ、て言うとったんですが、一番嫌なのは、マスクを外そういう人と、それに反対する人たちが公園内でカチあって、喧嘩などに発展することです。無関係の市民に被害が及ばないとも限りません。ノーマスクも困るけど、反対がやってきてのトラブルはもっときつい」(関西地方の公園管理関係者)
コロナ禍においては、感染対策やワクチン接種に関する議論が各所で紛糾し、それぞれの事象ごとに偏った見解を披露する人々の姿も目立つ。主張・見解をただ発表するだけでなく、社会を不安にさせる形で実行に移すことで、本当に市民に危害が及びかねない事態も発生し、反対する人たちとの対立もより鮮明になってきている。だが一般市民にとっては、どちらの主張が正しいかということはたいした関心事ではないだろう。本筋と関係のない場外乱闘ははた迷惑なだけだし、辛抱する生活が続くのに、これ以上疲弊させないでくれーそれが本音なのだ。