学校へ「行く」ことはできた(イメージ)

学校へ「行く」ことはできた(イメージ)

 ヤンキーはやる気がないだけで要領が良かったり、やればそれなりの点数は取ったりする。しかしドドンゴさんは要領も悪く、それなりの点数すら取れなかった。

「学校ではノートもちゃんと取って、授業も聞いてました。それなのに中学ではクラス最下位、学年でも後ろから数えたほうが早いんです。で、遠くのバカ高校」

こんな私に向いている仕事と会社に出会えて感謝

 昔は学年全員の成績を廊下に張り出す学校があった。地域差、学校差はあるかもしれないが、昔の漫画やテレビドラマなどで散見されるシーンだ。いまはコンプライアンスや生徒の人権問題もあり、張り出すところがあっても上位者に限る学校がほとんどだろう。ドドンゴさんは毎回からかわれ、恥ずかしかったという。

「大人しくて勉強してるのに最下位、そりゃからかわれます。でも小中はずっと(地域と学校が)一緒の連中だったんでからかわれる程度、地元から離れたそのバカ高校に行ってからが本当の地獄でした」

 ドドンゴさんは好きな話なら人と話すことは苦にならない。むしろ陽気で多弁だ。理解ある昔なじみばかりの中学では「陽気で変なバカ」で済んだという。

「(初めて)自分を見た人からすれば、ノート取って授業聞くなんて頭良さそうじゃないですか。それなのにバカ高校でも下から数えたほうが早い成績なわけで、”ガリ勉バカ”って勝手に思われて、地獄ですよ」

 そんなドドンゴさん、空気を読むのも苦手なため、初っ端から高校で怪獣話をしてしまった。もちろん同好のマニア相手ではない。

「入学早々、(ウルトラシリーズに関係しているとドドンゴさんが思った)話が出たんで、それからダーッっていつもの癖が出ちゃったんです。ツルク星人です。で、”なにそれ?”から”こいつヤベー!”ってキモがられるようになりました」

 別に高校生怪獣博士だっていいじゃないかと思うが、実際に受け入れてくれるクラスメイトはなかなかいないのが現実だろう。まして不良文化がもてはやされた1980年代のビーバップな高校、オタクに人権なんかない。生存権すらあやしい。バレた瞬間クラスの最底カーストへ無条件転落だ。ちなみにツルク星人とは『ウルトラマンレオ』第3話、第4話に登場する宇宙人である。もちろんクラスメイトはツルク星人の話なんかしていない、通り魔事件の話をしただけだ。ドドンゴさん、なんでも自分の興味に持っていってしまう。

「だから高校はほんと辛かった。毎日ボコられに行くようなものです」

 いま現在は当時ほど酷くないという。ドドンゴさんの見かけはいたって普通だし、脳内の”ウルトラスイッチ”さえ入らなければどこにでもいるおじさんだ。

「それなんです。見るからにヤバい人ならいいんでしょうけど、自分はウルトラマン(シリーズ)の話さえしなければ、(人前で)頭使ったりしなきゃ(見かけは)普通ですからね」

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