「スギHD」創業者の杉浦広一会長(同社提供/時事通信フォト)
だが、市は予約枠を2人分確保し、外部からの指摘で予約を取り消した時点で夫妻は接種会場に向かっていたとしている。この矛盾について同社に問うと、こう説明した。
「2人分の予約だったのは秘書が会長のアナフィラキシーを知らなかったからです。会長は枠が2つあるとは知らず、当日は相談役を会場に連れて行く途中だった。会長が車を運転して、奥さんを乗せるという行動は日常的にやっていることです。秘書がやったことについては、本当にお詫びを申し上げます」(広報室)
この言い訳が通るなら、行政にコネがあって秘書のいる企業幹部らはこぞって優先接種を目論むのではないか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。
「問題の根本は、国のワクチン供給体制が貧弱極まりないところにある。その結果、市の幹部に便宜を図ってもらうケースが出てきた。供給不足が続けば、同様の騒動が続きかねない」
国の失政が、コロナ特権階級を生み出す悪循環に陥ろうとしている。
※週刊ポスト2021年5月28日号