現在、大手求人サイト「リクナビ」に、五輪組織委員会の驚くべき求人募集が掲載されている。〈TOKYOでこれから生まれる感動が、世界に希望をもたらせるように。〉──これが橋本聖子・会長名で出されている求人広告のキャッチフレーズの一つだ。
組織委が募集しているのは、会場機器の配置設計や管理を行なう「大会本部内エンジニアPM(プロジェクトマネージャー)」(月給34万7900円)、コロナ対策システムの企画・設計などを行なう「大会本部内業務アプリ開発・会場エンジニア/PM」(同前)、「セキュリティエンジニア/主事~係長」(月給23万5800円)、さらに各競技会場で事務管理、調整業務を担う「プロジェクトマネジメント・拠点部門担当者」(同前)などのスタッフだ。
プロジェクトマネジメントの具体的な仕事内容は、競技会場や選手村、大会本部などで「数名の部下や外部スタッフ、ボランティアを率いるリーダーとして、実務を進めていただきます」と説明されている。
職種を見ると、メダルがかかる競技記録などを計測する会場機器の管理からコロナ対策まで重要なものばかりで、そのオペレーションを担う人材を今頃になって募集しなければならないこと自体、大会準備が大きく遅れていることを物語る。
いずれの求人も「試用期間 3か月」とされている。ミスでないなら、試用期間が過ぎた頃には五輪は閉会している。
「五輪の1年延期が決まった後、感染第2波で日本にいた海外の競技関係者は帰国し、ただでさえ遅滞している準備がどんどん遅れてしまった。それが現在まで響いている」(五輪に詳しい作家・本間龍氏)
※週刊ポスト2021年5月28日号