芸能

村上弘明 僕のベースは『仮面ライダー』、そこで撮影ノウハウを覚えた

俳優・村上弘明が『仮面ライダー』に抜擢された当時を振り返る

俳優・村上弘明が『仮面ライダー』に抜擢された当時を振り返る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・村上弘明が、ほとんど演技経験がないまま『仮面ライダー』に抜擢された当時について語った言葉を紹介する。

 * * *
 村上弘明は大学在学時の一九七九年に映画『もう頬づえはつかない』(東陽一監督)のオーディションを受けたところから、俳優としての人生を始めた。

「大学の友人がオーディションに僕の写真を送ったんです。書類審査に通ったというので、友人に誘われて遊び半分でオーディション会場に行きました。こっちはさらさら受かる気はない。それが受かってしまった。その友人がクラスの連中に合格を吹聴したんです。

 ところが、何週間か後に友人が持ってきたスポーツ紙を開いたら『主演は桃井かおり、奥田瑛二』と出ている。次の日、映画のプロデューサーの方に呼び出され、お会いすると『本当に申し訳なかった』と。当初は主演の同級生の男女二人は新人でいくつもりだったが、女優が桃井かおりさんになり、それでは年齢もキャリアもバランスが悪いということで奥田さんにしたとのことでした。

 その方に『この後、どうする?』と聞かれたので『特に決めてません。教職は取るつもりです』と答えたら『ちょっと俺に預けてみないか』と。そこで芸能事務所を紹介されました。契約したら、仕事が決まるまでひと月に六万六千六百六十六円払うというんです。大学にも行ってていい。何もしないで大学に行ってお金をもらえる。そんないい話はないとサインしたわけです」

『もう頬づえ~』の終盤での短い出演でデビューした後、『仮面ライダー』(スカイライダー版・TBS)の主役に抜擢される。

「僕がその頃に観ていたのは邦画では黒澤明監督や溝口健二監督の映画、あとはほとんど海外の作品でした。ですから『仮面ライダー』と言われてもピンとこない。それでもマネージャーに『自己表現の場と思いなさい』と言われて受けました。そうしたら選ばれたんです。

 現場ではよく怒られました。素人ですから、創意工夫なんてできない。言われた通りにやるしかない。言われた通りすらできない。『俺は俳優に向いていないな』『仮面ライダーが終わったら辞めよう』と思っていました。

 ただ1クールくらい経ってから、周りの反応も良かったりして、そこからはちょっと頑張ってみようかなって思ったんです。下手なものは下手なまま流れてしまう。恥ずかしい芝居をしても、そのまま流れる。それなら、自分で下手なりに作り上げていくしかない、と。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン