この背景には、コロナ禍で親族さえも病者と顔を合わせるのが難しくなったという事情がある。どうせ見舞うことができないなら、危篤も訃報も知らせない方がベターだという考え方だ。
前述の通り、田村さんの闘病はずっと伏せられていた。
昨年8月、肺炎で逝去した渡さんも、死が公表されたのは家族葬をすませた後だった。
「渡さんは生前、俊子夫人に『おれが死んでもすぐに公表せず、身内だけで葬儀をすませてから公にしてほしい』と伝え、香典や弔問、供え物は一切受け付けないよう申し付けました。誠実で人を思う渡さんだけに、コロナ禍で多くの人に見舞いや弔問の機会を与えて迷惑をかけるのを拒んだようです。
実際、舘ひろしさん(71才)や神田正輝さん(70才)といった石原プロの〝弟分〟ですら、家族葬に参列させませんでした」(テレビ局関係者)
こうした傾向は一般人にもみられる。在宅医療にかかわる長尾クリニック院長の長尾和宏医師が指摘する。
「私は去年の4月から約160人の患者さんを在宅で看取りましたが、ほとんどのご家族はごく限られた人にしか危篤や訃報を伝えませんでした。
ある企業の社長を看取った際も、一部の幹部にのみ訃報を伝え、社員には時間をおいてから知らせました。コロナ禍において、『訃報をすぐに知らせるのはごく一部の人にだけ』という配慮が広がっています」
※女性セブン2021年6月10日号