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ペットが長生きになったことで浮上する飼い主との“老老介護”問題

人もペットも長生きする時代に(イメージ)

人もペットも長生きする時代に(イメージ)

「ペットのために……」という思いが、時に不幸を招くことがある。ペット保険を手がけるアニコム損保の調査によると、2008年からの10年間で犬、猫ともに寿命が大きく延び、14歳を超えたという。がん治療が専門の獣医師で作家の石井万寿美氏はこう言う。

「30年以上前は多くの犬がフィラリア症にかかり10歳未満で命を落としていましたが、現代は予防薬や感染症のワクチン接種が普及したほか、室内飼いで“家族の一員”として愛情を注がれる存在になったことで、寿命が延びたと考えられます」

 しかし、「ペットのため」と思って手を尽くし、長生きになったことで、新たな問題も生まれている。

「高齢の犬や猫ほど、がんや心臓病など難治性の病気に罹る確率が高まります。難病治療は一生涯続くため、薬代などの経済的負担が飼い主に生じます。脳腫瘍の手術の場合、100万円近くかかることもある。また、ペットが高齢であるほど、手術による体への負担は大きく、抗がん剤治療も免疫力の低下や貧血などの副作用につながることがあります」(石井氏)

 飼い主とともにペットも老いれば人とペットの“老老介護”だ。

「飼い主が高齢で体が思うように動かせなくなると、日常的なペットの世話が負担になります。飼い主の視覚や嗅覚が衰えれば、ペットの衛生面が疎かになりやすい。餌をあげたことを忘れて何度も与え、ペットが肥満になるケースも。ペットも、高齢になれば膀胱や肛門の平滑筋の収縮力が弱まり排泄の失敗が増え、認知症になれば徘徊や夜鳴きをするようになります。高齢ペットの世話は、飼い主が高齢になるほど困難になります」(同前)

 経済的な問題も生じる。

「飼い主が年金生活者であれば、ペットの高額な治療費を捻出するのが難しくなる。ペット保険には人間の医療保険ほど手厚い保障はありません。経済的な理由から治療を諦める飼い主もいます」

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