芸能

市川海老蔵「新しい挑戦を」次世代の俳優に与えた「コロナ禍の試練」

大谷廣松、市川九團次、中村児太郎

市川海老蔵企画の「いぶき、」に出演する大谷廣松(左)、市川九團次(中央)、中村児太郎

「昨今の社会状況の中、歌舞伎の灯を絶やさぬためにできることは何かと考え、様々な挑戦をして参りました。その中で、ともに挑戦を続けてきた中村児太郎さん、市川九團次さん、大谷廣松さんをはじめとした次代の俳優たちにも、更なる活躍をしてほしいと、今回企画をした次第です」──市川海老蔵(43)と長男の堀越勸玄(8)の共演で話題になった「海老蔵歌舞伎」が6月13日、京都・南座で千秋楽を迎えた。その南座で17日から「市川海老蔵企画」と銘を打たれた公演「いぶき、」が上演されるにあたって、海老蔵はそうコメントを寄せた。

 コロナは歌舞伎界も激震させた。いくつもの公演が中止に追い込まれ、上演できたとしても観客の人数の制限が続いている。海老蔵自身、公演のオンライン生配信など新しい取り組みを始めているなか、危機感を抱いているのが「若手の成長」だ。

〈この2年間、公演はしていても歌舞伎はある意味止まっています。歌舞伎界を持続していかないといけない状況の中、ただ持続させているだけでは、若手の俳優の成長の機会がなくなってしまいます。20代の俳優にとっての2年間はとても重要で、リスクをもってでもこの子たちを育てていかないと、5年後10年後、さらに先の未来の歌舞伎界にとって必要な人材が育っていかなくなってしまいます。〉

「いぶき、」公演実行委員会は、そう危機感を露わにする。今回の公演は、「若手に成長の機会を」という海老蔵の思いもあって実現したものだという。「いぶき、」というタイトルには、歌舞伎発祥の地である京都で、「未来へつなぐ新しい挑戦」という意味が込められた。

 出演する中村児太郎(27)は若手女形のホープだ。6代目中村歌右衛門、7代目中村芝翫ら人気女形を輩出した名門「成駒屋」の跡取りで、脳出血でリハビリを続ける父・中村福助(60)の分も期待がかかっている。

 本来なら南座のスケジュールは人気俳優たちの舞台でスケジュールが一杯のはずだった。しかし、コロナの影響で6月4日から上演した「海老蔵歌舞伎」は通常よりも公演日数が少し短くなった。その後半のスケジュールを使って実現したのが、今回の「いぶき、」。児太郎自ら、3月に海老蔵に直接相談し、若手の勉強会としての公演が決まったという。

 昨年2月、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出始めた頃、児太郎が出演予定だった博多座の「市川海老蔵特別公演」が中止になった。そのときは、「2か月ぐらいの中止だろうと思っていた」という児太郎だが、実際には半年間も舞台に立てなかった。「舞台に立ってこその歌舞伎役者ですから、厳しさ、難しさを肌で感じました」(児太郎)。いまは舞台に上がれる“当たり前の日常”に幸せと感謝を感じるという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン