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現在する日本最古の「ヘア画」は鎌倉時代 びっしり描き込まれたもの

ヘアの日本史をたどる(写真はイメージ)

ヘアの日本史をたどる(写真はイメージ)

 隠されると見たくなるのが人の性というもの。古今東西、人類は“ヘア”に魅了されてきた。日本史の世界でも、様々な場所でヘアは描かれてきた。詳細に描かれ、そして“消された”ヘアの日本史をたどる。

●現存する日本最古のヘア画は鎌倉時代の春画の元祖

 日本では女性の裸体そのものに対する性的関心は薄かった。春画で男女の全裸が描かれることはまれだったが、一方で性器崇拝の信仰によるものか陰部は誇張されヘアは詳細に描かれた。現存する最古の春画である鎌倉時代の『小柴垣草紙絵巻』でも、デフォルメされた陰部やびっしり描き込まれたヘアを見ることができる。

●日本土産として流行したヌード写真

 1848年に日本に写真技術が伝来すると、明治の開国によって訪日した外国人の土産として日本の風景や日常生活を撮影した写真が大量に制作され、流行した。中には着物をはだけ乳房を見せている日本女性のヌードもあり、さらには外国人が娼婦や芸者をプライベートで撮影したと思われる、陰部やヘアまで写ったものもあった。

●春画絵師の陰毛にかける並々ならぬ情熱

 春画ではヘアの形状や濃淡に意味をもたせ、遊女か女房かを描き分けるなど、ヘアの表現にかける熱意は並々ならぬものがあった。複雑に絡み合った繊細なヘアは一本一本入念に彫られ、縮れや均一でない太さまで表現。彫師は春画の毛彫ができて一人前と言われる所以だ。

●恥ずかしい? 西洋文化の流入で裸体がNGになった

 元来裸体に無頓着だった日本が開国によって裸体=猥褻という価値観を持ち込まれ、裸体画も美術として受け入れられなくなってしまった。黒田清輝の『裸体婦人像』はヘアのない西洋絵画であったが、展示の際に警察によって下半分を腰巻のように布で覆われて展示された。当時の裸体への忌避感からヘア解禁がはるかに遠かったことがわかる。

※週刊ポスト2021年7月2日号

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