芸能

村上弘明 『炎立つ』で藤原清衡演じ「僕にとって格別な役でした」

俳優・村上弘明が印象に残る役を振り返る

俳優・村上弘明が印象に残る役を振り返る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・村上弘明が、NHK大河ドラマで藤原清衡、明智光秀、柳沢吉保を演じたことついて語った言葉を紹介する。

 * * *
 村上弘明は一九九三年、NHK大河ドラマ『炎立つ』全三部構成の第二部に主演。「後三年の役」に勝利し奥州に独自の文化と勢力を築く藤原清衡を演じた。

「僕にとって格別の役でした。当時、大河ドラマに主演することは一つのステータスだったようですが、そんなことより清衡というのは僕の故郷・岩手の最大の偉人であり英雄なわけです。それだけに非常にプレッシャーはありました。下手は打てないという想いでしたね。

 でも、源頼朝に焼却されたりして、資料は全く残っていない。ですから、ロケの合間に清衡が眠る中尊寺金色堂に行ってお祈りしていました。

 清衡が残した供養願文には、『戦で命を落とした人々、敵味方関係なく生きとし生きるもの全てを供養す』とあります。戦で妻や子、多くの仲間を亡くした清衡だからこそ争いのない平和な世を願った──その切なる想いを役に投影したつもりです」

 九六年の大河ドラマ『秀吉』では明智光秀役で出演、悲劇的な人物として演じている。

「僕はその前の年、『メナムは眠らず』というNHKドラマの撮影でタイに行っていました。

 このドラマは前後編あったのですが、その前編のディレクターが『秀吉』の演出陣の一人でした。『光秀をやってほしい。僕は日本に明日帰るから、それまでに読んでおいてもらえる?』と渡されたのが、『秀吉』のシノプシス(あらすじ書き)でした。

 シノプシスといっても、一話が五、六ページあって、それが三十話分もある。それを一晩で読めと。僕はその翌日も早朝から撮影があったのですが、それでも眠い目をこすりながら読みました。そしたらなかなか面白い役なんです。

 それからひと月後、東京のスタジオでの撮影の合間、NHKの別の番組のディレクターが私の楽屋に現われ、『光秀やるんだって? やめた方がいいぞ。光秀といったら逆賊だ。お前がやるべき役じゃない』と言ってきたんです。

 それでも後日、『秀吉』のディレクターやプロデューサーが席を設けてくれて、『今回の光秀は逆賊のイメージを払拭したい。これは番組のテーマでもある。だから村上さんにやってほしい』と。そこまで言ってくれるなら、と出ることにしました。

 光秀は悲愴感漂う役でしたね。そういう役はあまりやっていませんでした。強い役、ヒーロー然とした役ばかりで。それだけに、役者としていい経験ができたと思っています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
入場するとすぐに大屋根リングが(時事通信フォト)
興味がない自分が「万博に行ってきた!」という話にどう反応するか
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン