殺伐とした場面も多いこのシリーズで、「オクトパス」のシーンはどんどん底が抜けていく脱力ムード。岡田はこの場面を「オアシス」と表現し、江口カン監督も「やっとオクトパスのシーン来たか」と言ったという。みんな好きなんですな。その源はやっぱりタコ社長である。
佐藤といえば、『勇者ヨシヒコ』シリーズの仏など、テキトーなことを言うおとぼけの達人、アドリブの面白さでも知られる。今や、佐藤が出てくるだけで「何かアドリブやるんじゃ?」と期待する。みんなが「佐藤二朗のアドリブ待ち」状態と言ってもいい。
今回の新作では、アドリブだけでなく、もうひとつ佐藤二朗の「特技」が発見できた。ミサキに「サンタクロースは知ってるよね」と聞かれて、ファブルは「いや、知り合いじゃない」と大真面目に返答する。そのファブルをなんとも言えない顔で見つめるタコ社長。この「なんとも言えない顔」があるかないかで、この場面の面白さが格段に違ってくる。
監督は、「オクトパス」のシーンでは、なかなかカットの声をかけず、佐藤にお任せした部分も多かったらしい。監督も佐藤のアドリブと「なんとも言えない顔」のファンなのだ。間違いない。